夏希side

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「……ん…ふぁ~っ…あれ?」 「おはよ。眠れた?」 俺の胸の中に戻ってきていた雪が見上げる 「あ……眠れた。え?何時?」 「何時かな…夕方」 「ええっ?!寝過ぎた!」 雪が飛び起きる 「別に寝過ぎてもいいじゃん。誰も困んないよ」 「そうだけど…信じらんない。朝も公園で寝たのに。今日…寝てばっかで終わる」 「いいじゃん。雪にとって、俺と居る今日が、凄く特別な日って事だろ?」 「~~~っそんなっ…嬉しそうな顔っ…すんな!」 うわぁ~  顔、真っ赤 起きるか 「んっしょっと。雪、今日の晩ごはん何にする?」 「別に…何でも…」 「外食…は、まだちょっとやめとくか」 左頬をそっと触ると 「……なっ…夏は、基本的に手の動かし方が、やらしい!」 可愛いなぁ 雪を抱き締める 「何がいいかな。どうせ肉だよな?しょうが焼きとか?」 「何でも…ってか、何でいちいち、くっ付いてっ…!手…手を動かすな!」 「もっと素直に喜べよ。ほんと、くすぐったがりだよなぁ」 「仕方ないだろ!」 仕方ないけど、全然触れないじゃん 「焼き肉でもする?それとも肉じゃがとか?何がいい?」 しょうがないので、雪の腕から手まで、す~っと指でなぞる 「夏が食べたいの…でっ!ちょっと!」 「これくらい、いいだろ?こんなんじゃ俺、雪に何も出来ないじゃん?」 「なっ…!何…?何も…出来ないって…」 ん~… 俺に何かされるの、怖そうではないよなぁ 「雪…ちょっとだけいい?」 雪を後ろから抱き締めて聞いてみる 「ちょっ…!ちょっとって…?!」 「分かるだろ?雪が、こういうシチュエーションの時に、彼女にしてきた事だよ」 「なっ…!だ…だめに決まってんだろ?!」 …照れてる…よな? 「なんで、決まってんだよ?ってか、雪、どんな事考えたの?やっらし~」 「えっ?!ど…どんな事っ…て……」 可愛い過ぎる 可愛い過ぎる 可愛い過ぎる! けど! 落ち着け~!俺! 「嘘。雪が嫌がる事は、しない」 パッと手を離すと 雪が、下を向いたまま動かない え? 泣いてないよな? だって俺、何もしてないぞ 「…な……夏が…したい…なら…いいよ…嫌じゃ…ない」 「……え?」 い…いや…… 無理無理無理無理! そんな可愛い事言われたら、キスだけじゃ止まらんでしょ! キスの先の先が、どうなってんのか知らんし! 「いや……ちょっと俺まだ勉強不足で…キスより先は…まだ…え?」 ドサッ あ…れ…? 何で…俺、仰向けで……雪、俺の上に乗っかってんの? 「あ…あれ?…雪?」 「出来る事で…いいじゃん。したいんだろ?」 は…はあ?! 何でこいつ、いきなりスイッチ入ってんの?! 「……え?!いや!……し…したくない!」 「は?!したくない?!」 「えっ?あ…いや……そうじゃなくて…」 「俺は…夏としたいよ」 雪が……メチャクチャやらしい顔で近付いてくる ちょっ…ちょっ…ちょっと… 「待った~!」 「…何?」 「いや…ちょっと…今はまだ……早いって言うか…」 「夏…やっぱ童…」 「違うわ!そうじゃなくて…」 さすがにそれは、理性保てるか分かんない 俺が、メチャクチャ触ったりしたら、雪…怖いだろうが 「夏…俺…怖くないよ?」 え? 何で…俺が、そう思ってるって…… ってか… また顔近付けてくるし ガシッと捕まえてやる 「何っ?!」 「ダメだ。お前が、ちゃんと怖いものは怖いと、言える様になるまで、おあずけ」 「はあ?!俺、大抵のもの怖くないんだから、それじゃ一生何にも出来ないよ?」 「いいよ」 「いいよって?!…うわっ!」 雪の上半身を、俺の上に倒して抱き締める 「雪が、怖い事も、嫌な事も、全部言える様になって……それでも、怖くも嫌でもなかったらにしよ?」 「だから、そんな日は来ないってば!」 「来るよ。雪は、ちゃんと変われる」 「そんなものに気付いたら……生きてくのに邪魔でしかないよ」 「1人で生きてこうとするからだろ?」 冷静で大人な雪を凄いとは思ったけど 雪からは、心配そうな言葉は全然なくて 「傷口小さいもん。大丈夫だよ」 きっと…自分がそう思ってるからなんだ 痛いとか、怖いとか、不安とか そういうのより先に、どうするかを考えてきたから 「雪。怪我したら痛いんだ。男だろうが、大人だろうが、怖いものは怖いんだ。どうしてとか、どこがとか、俺には言わなくていいからさ。ちゃんと、雪が雪の事考えて、俺に甘えられる様になったら、キスの先してよ」 「……そんなんじゃ夏は一生、童…んっ?」 雪の髪にキスをする 「それまでは、いっぱいキスしとこ」 「……そんな事言って…さっきからずっと、当たってるんですけど」 「そりゃ、好きな人に、あんな顔でせまられたらね。雪は…」 太ももの辺りに手を伸ばすと 「さ…触ろうとするな!」 と、俺の上に起き上がる 「ははっ」 「ど…どうすんだよ?!それ!」 「俺、自制出来る男だから大丈夫だけど…雪が協力してくれるなら、髪の匂い嗅がせてくれる?」 「は?髪の匂い?」 「うん。雪の髪の匂い嗅ぐと落ち着くから」 そう言うと、はあ?という顔をする 「ふっ…俺の彼氏、全然優しくないじゃん。雪、ちょっとどけて?さすがに、雪にそんな体勢で見られたままじゃ、収まらない」 「あっ…ごめん」 雪が、俺の上からどける 「ありがと」 ? 雪が、俺の隣で横になって、背中を向ける 「もう少し寝るのか?左下にすんなって」 「……髪の匂いくらい……嗅げばいいだろ?」 「…え?」 「そんな事くらい…我慢させる程……意地悪じゃないし」 ちょっ…と…… これは不意打ち過ぎて…… 「ありがと」 雪の髪に顔を寄せて抱き締める 「抱き締めてもいいなんて、言ってないぞ」 「ごめん」 手を離すと 「なっ…!馬鹿じゃないの?聞けばいいじゃん?!」 我が儘ツンデレお嬢様だな 「抱き締めてもいいですか?」 「い…いいけど?」 「ありがと。でも、嫌な事はちゃんと言って」 「当たり前だ!…ってか、その髪も、ベンチで寝てた髪だぞ」 「…そうだった。もう…遅い」 「ったく。俺の髪の、何がそんなにいいんだか。変態め!」 雪…楽しい? 今は…死ぬ事考えてない? 少しずつ、その時間 増やしてこう? 楽しい時間 もっともっと 雪にあげるから
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