夏希side

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「ははっ。夏の顔びしょびしょだな。睫毛付いてる。ちょっと、じっとしてて」 「…っ…ん」 じっとって言われても 泣きじゃくってるから 勝手に体が動いてしまう 左目のすぐ下辺りを触ってきたので 必然的に目を閉じる 少しの間触ってると 「…ん?…ははっ…夏、全然じっとしてくんないし」 「うっ…すいません…っ…取れなかったっ…ら、いいです」 「ちょい待ち」 そう言って、右耳に手を添えてきた! 「んっ…!」 思わず、左手で(ちか)の服を掴み 右手を耳の近くに持ってく 「え?」 「~っ…耳っ…はっ…」 無理なんです! 「……え?」 右耳に添えてる手を、ずらそうとした時 「夏!」 「……え?」 雪が、雅斗って奴と立ってる なんで…ここに…? (ちか)が、パッと手を離す 「何?!(ちか)に何されてたの?!」 雪が隣に来て、俺を抱き締めてくる 「お前…っ…人聞き悪い事言うな!」 悠が、ベンチから立って、雅斗って奴の傍に行く 「なっ…何でこんな泣いてんだよ?!」 お前だって、号泣だったろが 「(ちか)!白状しろよ!」 「めんどくせぇな。雅斗、行こ」 「あ!逃げるなよ!」 「雪。突然俺のとこ飛び込んで来たんだ。夏が不安なの分かるだろ?ちゃんと説明するんだぞ?」 雅斗が、雪に優しく言うと 「うっ……うん」 大人しく頷いた 雅斗と悠じゃ、態度が全然違うんだ 「よし。じゃな、雪」 「もう、見付けても、雅斗に飛び付くなよ?!」 「(ちか)には関係ないもん」 「おい!」 「悠、行くよ」 「ったく!あいつの、俺への態度どうよ?!」 「いいから、行くよ」 行っちゃった いいのかな…雪 「ゆっ雪…もっと話さなくてっ…良かったのか?」 「いいんだよ。ちゃんと挨拶したかっただけだから…って…(ちか)に聞いたのか?」 「うんっ…さらっとっ…だけどっ…あの時っ…お世話っ…なってたんだろっ?」 「うん…。雅斗に何にも言わないで来ちゃったから……それよりも夏、(ちか)に何されたの?」 「何もっ…」 良かった あの人達のお陰で、今、雪が居る 「じゃ、何でそんなに泣いてるの?!何かされたんだろ?ってか…さっき、何してたの?キス…しようとしてたの?」 「まっ…まさか」 「でも!…そんな風にしか…見えなかったよ?」 「俺のっ…左目の下…っに、睫毛、付いてる?」 「え?…ああ付いてる」 「それっ…取ろうと…してくれただけ」 「んしょっ…取れたよ」 「えっ?…ありがとっ」 何秒?! 取るの早っ! 理由言ったのに、なんでムスッとしてんだ? でも…なんか可愛いな 「ふっ…」 「な…何笑ってんの?」 「雪のっ…ムスッとした顔っ…可愛いっ…から」 「なっ!ふざけないでよ!睫毛なんか、自分で取ればいいだろ?!なんで(ちか)なんかに取らせてんだよ?!」 ああ… なんだ…ちゃんと 「ゆ…雪っ…妬いてくれんだ」 雪をぎゅっと抱き締める 「は…はあ?!今日会ったばっかの奴に、あんな顔見せたりするからだろ?!」 「あんなっ…顔?どんな…?」 「エっっロい顔だよ!」 「ふっ…それ…雪がっ…エロいから、そっ…見えるだけだろ?」 「はっ?!馬鹿じゃないの?誰が見たって、あんなの…」 雪が、ぎゅっと力を入れて抱き締め直す 「雪?」 「…っ何されるか分かんない…くそっ!(ちか)の奴、俺には、雅斗に触るな。雅斗にくっ付くな。雅斗に甘えんな。って、散々言っといて、夏に手出しやがって!」 「…手…出されてない」 「俺が来なきゃ、出されてた!」 「…そんな奴じゃ…ないって…分かってるだろ?」 「分かんないね。雅斗が好きになった奴だから…と思ってやってたのに。とうとう本性出しやがった」 ほんとに嫌な奴が、雪を雅斗と一緒に、寝させたりするか? 絶対、嫌だって気持ち抑えて、雪の事心配してくれてたんだろ? 雪、あんな態度なのに、一緒に居てくれたんだろ? 「俺が見付けられなかった間…一緒に居たのが、(ちか)達で良かった」 「…あの時は…今よりずっと死にたかったけど…他に夏が心配しなきゃなんない様な事は、何もなかったよ…」 「うん。(ちか)に会って分かった」 「~~っなんっか、ムカつく!夏、もう絶対、偶然会っても、悠の傍に行っちゃダメだよ?」 「何でだよ?頼れる先輩だろ?」 「頼んのは、雅斗だけでいいの!」 雅斗、話してないから、知らないし 雪から体を離す 「雪が迷った公園ってここ?」 「そう。って、話変えないでよ?」 「何で、俺達がここに居るって分かったの?」 「(ちか)の強い希望で、悠と雅斗は、GPSでお互い何処に居るのか、分かるようになってるから」 「ああ…なるほどね」 GPSかぁ いいなぁ…って言ったら、絶対嫌がるだろな あ…雪、マスク…… 「ちょっと夏、さっきの返事は?(ちか)に会っても…」 「雪、マスク外してたの?」 「え?マスク…ああ。泣いた時、取ったままだった」 「びっくりしてなかった?」 「…してた。喧嘩でもしたのか?やんちゃだなぁ。って、困った顔してた」 「…優しい人だな」 「うん」 連絡先知ってるみたいだった でも…色々考えて、向こうからも連絡しなかったんだろうなぁ (ちか)、何度か死のうとしてたって言ってた そんなの見てたら、絶対心配だったろうに 悠だって、あんなに気にしてたのに 優しい… 「夏、もうご飯要らない。家帰ろ?」 「要らないはダメだろ。コンビニから、何か買ってこ?雪、マスクある?もう…雪1人で…待たせたくないから」 「びしょびしょだけど、あるよ。けど…夏だって、目真っ赤で…明らかに泣いてましたって顔してて…俺達2人で行ったら怪しさ倍増だよ。何か家にある物、適当に食べよ?」 「そっか…そうだな」
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