雪side

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「雪…きっと夏と居たら、どんどん死ぬ事考える時間なくなってって、死ななくてもいいって思えるようになるよ」 「それはっ!…それは…許せない。俺が…許さない」 「……そっか……いつか…許せる日が、来るといいな」 そう言って頭を撫でてくれた 雅斗の声と手が優しくて 初めて…ほんの少し そんな日が来たら…いいなって思った 「さてと、(ちか)と夏を探すか」 「GPSとか怖っ」 「そんな事ないよ。こういう時、便利だし。特に、雪みたいにフラフラ危ない奴にはオススメだぞ?」 「絶対やだ!」 夏に言ったら、絶対喜ぶやつ 公園って、俺が迷ったとこか 公園に向かって歩き出す (ちか)はムカつくけど、雅斗以外に興味ないからな そういう意味では大丈夫だろうけど 嫌な事言われたりしてないかな 「夏と、一緒に暮らしてるの?」 「叔父さんとか、夏のおばさんが心配しちゃってね」 「そっか。良かったな」 「…でも、(ちか)ほどじゃないけど、うるさいよ?」 「それは、雪の事が大切で心配してるからだろ?」 「そうだとしてもだよ」 「そんな風に、我が儘言える相手、大切にしろよ?」 「うん…」 公園に入って見渡すと、ベンチに人が居る あれか 近付いてくと、(ちか)が背中を向けて、夏がこっちを向いて、向かい合っている なんか…近くね? もう少し近付いたところで 「んっ…!」 夏の…声… (ちか)の服を掴んで 夏…目…閉じて…… 足が…止まる 「え?」 「~っ…耳っ…はっ…」 なんで… 「……え?」 なんで?! 「夏!」 「……え?」 俺が声を掛けると、びっくりして、こっちを見ると (ちか)が、パッと手を離した 悠から夏の体を離して、引き寄せる 「何?!(ちか)に何されてたの?!」 「お前…っ…人聞き悪い事言うな!」 一瞬、悠が俺の顔を見て驚いた表情になったが、夏に手出しといて、何その態度! 悠が、ベンチから立って、雅斗の傍に行く 夏の顔を見ると、涙でぐしゃぐしゃになってた 「なっ…何でこんな泣いてんだよ?!(ちか)!何したんだよ?!」 「何もしてねぇよ。めんどくせぇな。雅斗、行こ」 「あ!逃げるなよ!」 「雪。突然俺のとこ飛び込んで来たんだ。夏が不安なの分かるだろ?ちゃんと説明するんだぞ?」 雅斗の言う事は…分かる 「うっ……うん」 「よし。じゃな、雪」 「もう、見付けても、雅斗に飛び付くなよ?!」 「(ちか)には関係ないもん」 絶対また飛び付いてやる 「おい!」 「悠、行くよ」 「ったく!あいつの、俺への態度どうよ?!」 「いいから、行くよ」 雅斗と(ちか)が、去って行った 「ゆっ雪…もっと話さなくてっ…良かったのか?」 「いいんだよ。ちゃんと挨拶したかっただけだから…って…(ちか)に聞いたのか?」 「うんっ…さらっとっ…だけどっ…あの時っ…お世話っ…なってたんだろっ?」 「うん…。雅斗に何にも言わないで来ちゃったから……それよりも夏、(ちか)に何されたの?」 「何もっ…」 まだ泣きじゃくってる 「じゃ、何でそんなに泣いてるの?!何かされたんだろ?ってか…さっき…何してたの?キス…しようとしてたの?」 「まっ…まさかっ」 「でも!…そんな風にしか…見えなかったよ?」 あんな…顔で あんな声…! 「俺のっ…左目の下…っに、睫毛、付いてる?」 「え?…ああ付いてる」 「それっ…取ろうと…してくれただけ」 「んしょっ…取れたよ」 「えっ?…ありがとっ」 これ?! 何でこれだけの事するのに 夏に…あんな…… ムカつく! 「ふっ…」 「な…何笑ってんの?」 「雪のっ…ムスッとした顔っ…可愛いっ…から」 「なっ!ふざけないでよ!睫毛なんか、自分で取ればいいだろ?!なんで(ちか)なんかに取らせてんだよ?!」 「ゆ…雪っ…妬いてくれんだ」 そう言って、夏が抱き締めてきた 「は…はあ?!今日会ったばっかの奴に、あんな顔見せたりするからだろ?!」 「あんなっ…顔?どんな…?」 どんなって… 無自覚! 「エっっロい顔だよ!」 「ふっ…それ…雪がっ…エロいから、そっ…見えるだけだろ?」 「はっ?!馬鹿じゃないの?誰が見たって、あんなの…」 あんな顔されて、あんな声聞いたら… きっと俺が声掛けなかったら… あんなに雅斗だけを好きな(ちか)で、そうなっちゃうんだから 他の奴等なんか… 夏を力いっぱい抱き締める 「雪?」 「…っ何されるか分かんない…くそっ!(ちか)の奴、俺には、雅斗に触るな。雅斗にくっ付くな。雅斗に甘えんな。って、散々言っといて、夏に手出しやがって!」 「…手…出されてない」 「俺が来なきゃ、出されてた!」 「…そんな奴じゃ…ないって…分かってるだろ?」 「分かんないね。雅斗が好きになった奴だから…と思ってやってたのに。とうとう本性出しやがった」 けっ…! 雅斗にいっぱい怒られて、泣かれろ! 「俺が見付けられなかった間…一緒に居たのが、(ちか)達で良かった」 「…あの時は…今よりずっと死にたかったけど…他に夏が心配しなきゃなんない様な事は、何もなかったよ…」 「うん。(ちか)に会って分かった」 っ! 悠に会って、何で分かってんだよ?! 何を分かったんだよ?! どうやって分かったんだよ?! 「~~っなんっか、ムカつく!夏、もう絶対、偶然会っても、悠の傍に行っちゃダメだよ?」 「何でだよ?頼れる先輩だろ?」 「頼んのは、雅斗だけでいいの!」 夏が体を離すと 「雪が迷った公園ってここ?」 「そう。って、話変えないでよ?」 「何で、俺達がここに居るって分かったの?」 「(ちか)の強い希望で、悠と雅斗は、GPSでお互い何処に居るのか、分かるようになってるから」 「ああ…なるほどね」 うわぁ… 何か考えてる 絶対いいなって思ってる 「ちょっと夏、さっきの返事は?(ちか)に会っても…」 「雪、マスク外してたの?」 「え?マスク…ああ。泣いた時、取ったままだった」 「びっくりしてなかった?」 「…してた。喧嘩でもしたのか?やんちゃだなぁ。って、困った顔してた」 「…優しい人だな」 「うん」
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