夏希side

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「雪、何が不安?」 「……俺が……誰かに強く思われたり、思ったりするのが……」 「何で?いい事だろ?」 「……死ぬ時…お互い辛いだろ?」 死ぬ時…… 雪の傍には、いつも死がある 死ぬ為に…バイトして 死ぬ為に…生きてる 「雪……俺は、じいちゃんになった雪と、昔話をしたい」 「……ごめん……それは、別の人に…」 「俺は、雪と、じいちゃんになっても、話してたい」 「……だから……俺じゃ無理だから…」 「どうしたら……じいちゃんになってくれる?」 「……夏は、特別だから……夏の願いなら、何でも聞いてあげたいけど……それはちょっと……難しいと思う」 何で…… ほっといたって、皆じいちゃんになるだろが 「……じゃあ……何歳ならいいの?」 「……え?」 「何歳までなら、生きててくれるの?」 「そんなの……どんな会社に就職するのかも分かんないんだから、分かる訳ないだろ?」 奨学金返す為の就職 奨学金返し終えたら、死ぬくせに 「ご飯支度する」 雪から離れる これ以上話したら、また喧嘩になる 最近毎日の様に衝突ばかりで、身が持たない 何か言いたげだったが、雪もソファーへと向かった 必要な物を出していくと あっ…… オムライス作るのに、肝心の卵買い忘れてんじゃん 「ちょっと忘れ物。買い物して来る」 ソファーに座ってる雪に声を掛ける ドアを閉めて、玄関で靴を履こうとした時 ダダダダ ガチャ 「雪?」 振り返ると 「夏!お願い!お願い!行かないで!!」 飛び付いてきた こ…これは 物凄い力 アレだ 「大丈夫。行かないよ、雪。大丈夫」 「夏……どうしよう……どうしよう……」 「大丈夫。ちゃんと居るから、大丈夫」 「夏……ごめん……夏……ごめん」 「謝んな。大丈夫だから。大丈夫」 こんな風になった後 俺の背中には、色んな方向に、色んな傷が付いている そんなになるだけ爪立てて、搔きむしるようにさせる…… それは、なんなんだろう 「~~~~っ…夏っ…なつ~~…」 「大丈夫。雪。俺ちゃんと居るよ」 「ごめんっ……うっ……分かんなっ…」 「いいよ。分かんなくてもいいよ。大丈夫」 す~ す~ 寝た 高校の時も、けっこう一緒に居る時間あったけど こんなのはなかった やっぱ、おばさん死んだの関係あるよな いつも、俺が歩き出したのを、後ろから呼び止められて始まるのには 何か意味があるのだろうか タオルで顔を拭いてやる そうだ……唇どうなった? 下唇を裏返してみると、白くなって、少し盛り上がってる これ……普通のご飯食べれるのか? ちょっとした口内炎でも痛いのに 「ん…」 雪が顔を逸らす 「悪い。痛かったな?」 頭を拭いて、腕を拭く パンパン 「夏!二礼二拍手一礼だよ」 「ん?なんの暗号だ?」 「お参りする作法だよ!ちゃんとした作法でお祈りしないと!俺達受験生なんだから!」 「どうやったって、叶うもんは叶うだろ?」 「ダメだよ!一緒に受かんないと意味ないんだから。俺は留年出来ないから今年だけ。だから夏も今年だけ」 「はいはい。どうだって?」 「こうだよ。まず、2回お辞儀して……」 全然…適当な奴じゃなかった 真面目って訳じゃないけど どうでもいいだなんて、考える様な奴じゃなかった 偏見かもしんないけど やっぱ、親があんまり居ないと しっかりするのかな、なんて思ってた 胸の辺りを拭くと 「んやっ……ひゃはっ……」 くすぐったがりは変わらない 少し横にして、背中を拭く 「やはっ……んや!」 「はいはい」 元に戻して脇の辺りを拭くと 「いやははっ……ひゃはっ……やめっ……うひゃははっ…」 「ん。終わり」 アレの後は、ぐっすりだ 「ちょっと…意地悪だったかな……」 高校時代の雪を知ってるから…… ほんとの雪を知ってるから…… 泣きそうになる 今のうちに、買い物行って来よ 「ゆっくり休でろ」
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