彩雪side

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「おお~。広いし綺麗にしてるじゃん?俺の家に行かなくて正解」 「葉山の家は、そんな汚ないのか?」 「ん~……一応、座れる場所はある」 「葉山、彼女居るんじゃなかったっけ?」 「………飲むぞ!嫌な事は忘れるぞ!」 あれ…… 別れてたのか…… 「って事があってさ~。酷くね?俺、何も悪い事してねぇのに」 「あ~…うん。それは、酷いね~」 葉山……絡み酒? でも、まあ…… 自分も話したい事あったのに、俺の話聞いてたんだよな 「葉山、まだ飲む?」 「飲む!」 冷蔵庫から、酒を取り出してイチゴを見る 今日もイチゴ取りに来たかな 同じ時間に居るって言っといて、飲みに行っちゃってた 帰って来た時には、もういい時間だったし ごめんね~ 「白峰~?酒はどうした~?」 「あ~、はいはい」 「んで~?お前のその大切な人っつ~のは?」 忘れてなかったんだ 「ん~?なんだこれ?開かねぇな~?」 けっこう酔ってるし、いっか ビールの缶を開けてやる プシッ 「おお~!かんぱ~い!」 「ふっ…乾杯」 「っか~!うめぇ!」 目が、座ってきてる…… 丁度いいかも 「俺さ……高校の時付き合ってた子、妊娠させたんだよね」 「あ?妊娠?……なんだ、お前…子供居たのか?早く言えよバ~カ。俺の傑作品を与えてやるぞ~」 「俺は……全然まだ責任取れる歳じゃなかったけど……ほんとに……その人の事…好きだったから……嬉しかった」 「あ~?なんだ、お前~。好きな人いんのか!紹介しやがれ~」 「けど……当然だけど…向こうの両親怒っちゃって……話し合いどころじゃなくて……その人にも会えなくなっちゃって……連絡もつかなくなっちゃって……」 「なんだ~?お前も失恋組か~。よ~し、乾杯だ~!」 失恋……なのかな 離れたままなんだから…… そうか 俺は…ずっと……想いが消えないまま…… 「俺…てっきり、その子は…産ませてもらえなかったんだと思ってた……けど……多分あの子……俺の子供だと思う……俺の……息子だと思う」 「ん~?白峰……泣いてんのか?」 「ははっ…嬉しいんだけど……申し訳なくて……でも、やっぱり凄く嬉しくて……うっ……あの子達の苦労考えたらっ……うっ……俺がっ…嬉しいだなんて……」 「白峰?……よしよし」 葉山が、俺の頭を撫で始める 「ふっ……慰めてくれてんの?」 「だって、白峰~俺には悪い事してないからな~。俺は白峰と、こうしてるの楽しいから~。白峰が泣いてんなら、慰めてやろ~。よしよし」 「ありがとう……俺みたいのでも、慰めてくれて」 最低な人間なのに…… 「白峰の~忘れられない大切な人は~?どんな人なんだ?」 「優しくて、いつも笑ってて……ほんとは、結構辛い事もあったのに……全然、そんなのないみたいにしてて……皆の人気者だった」 「それは~…白峰だな。その人と~白峰は~一緒~」 「……え?一緒って?」 「だから~…今言ったの…そのまま白峰じゃん~?だったら……その人も……同じ事……思ってるん…じゃね?」 す~ す~ 寝た そう言ってくれるのは嬉しいけど…… 多分…そんな風に思って頑張っていける程… 真優(まひろ)のあれからは、優しい世界じゃなかったと思うから…… でも…… 初めて人に話して、気休めでも優しい言葉掛けられたら…… なんか…少しだけ……気持ちが軽く…… 「ありがとう…葉山(はやま)真優(まひろ)の事聞いてくれて。俺…初めて…真優の事…あんな風に誰かに言った……ずっと…言いたかったんだ。俺の大切な人の事…聞いてくれて、ありがとう」 す~ す~ 熟睡 「こんないい男。きっとまたすぐに彼女出来るよ」 そう言って頭を撫でてやると 「ん~?…かのじょ……いらね~…」 ふっ… 強がってる 久しぶりに飲んだら… 俺も… 眠くなって……きた………
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