17人が本棚に入れています
本棚に追加
「おお~。広いし綺麗にしてるじゃん?俺の家に行かなくて正解」
「葉山の家は、そんな汚ないのか?」
「ん~……一応、座れる場所はある」
「葉山、彼女居るんじゃなかったっけ?」
「………飲むぞ!嫌な事は忘れるぞ!」
あれ……
別れてたのか……
「って事があってさ~。酷くね?俺、何も悪い事してねぇのに」
「あ~…うん。それは、酷いね~」
葉山……絡み酒?
でも、まあ……
自分も話したい事あったのに、俺の話聞いてたんだよな
「葉山、まだ飲む?」
「飲む!」
冷蔵庫から、酒を取り出してイチゴを見る
今日もイチゴ取りに来たかな
同じ時間に居るって言っといて、飲みに行っちゃってた
帰って来た時には、もういい時間だったし
ごめんね~
「白峰~?酒はどうした~?」
「あ~、はいはい」
「んで~?お前のその大切な人っつ~のは?」
忘れてなかったんだ
「ん~?なんだこれ?開かねぇな~?」
けっこう酔ってるし、いっか
ビールの缶を開けてやる
プシッ
「おお~!かんぱ~い!」
「ふっ…乾杯」
「っか~!うめぇ!」
目が、座ってきてる……
丁度いいかも
「俺さ……高校の時付き合ってた子、妊娠させたんだよね」
「あ?妊娠?……なんだ、お前…子供居たのか?早く言えよバ~カ。俺の傑作品を与えてやるぞ~」
「俺は……全然まだ責任取れる歳じゃなかったけど……ほんとに……その人の事…好きだったから……嬉しかった」
「あ~?なんだ、お前~。好きな人いんのか!紹介しやがれ~」
「けど……当然だけど…向こうの両親怒っちゃって……話し合いどころじゃなくて……その人にも会えなくなっちゃって……連絡もつかなくなっちゃって……」
「なんだ~?お前も失恋組か~。よ~し、乾杯だ~!」
失恋……なのかな
離れたままなんだから……
そうか
俺は…ずっと……想いが消えないまま……
「俺…てっきり、その子は…産ませてもらえなかったんだと思ってた……けど……多分あの子……俺の子供だと思う……俺の……息子だと思う」
「ん~?白峰……泣いてんのか?」
「ははっ…嬉しいんだけど……申し訳なくて……でも、やっぱり凄く嬉しくて……うっ……あの子達の苦労考えたらっ……うっ……俺がっ…嬉しいだなんて……」
「白峰?……よしよし」
葉山が、俺の頭を撫で始める
「ふっ……慰めてくれてんの?」
「だって、白峰~俺には悪い事してないからな~。俺は白峰と、こうしてるの楽しいから~。白峰が泣いてんなら、慰めてやろ~。よしよし」
「ありがとう……俺みたいのでも、慰めてくれて」
最低な人間なのに……
「白峰の~忘れられない大切な人は~?どんな人なんだ?」
「優しくて、いつも笑ってて……ほんとは、結構辛い事もあったのに……全然、そんなのないみたいにしてて……皆の人気者だった」
「それは~…白峰だな。その人と~白峰は~一緒~」
「……え?一緒って?」
「だから~…今言ったの…そのまま白峰じゃん~?だったら……その人も……同じ事……思ってるん…じゃね?」
す~ す~
寝た
そう言ってくれるのは嬉しいけど……
多分…そんな風に思って頑張っていける程…
真優のあれからは、優しい世界じゃなかったと思うから……
でも……
初めて人に話して、気休めでも優しい言葉掛けられたら……
なんか…少しだけ……気持ちが軽く……
「ありがとう…葉山。真優の事聞いてくれて。俺…初めて…真優の事…あんな風に誰かに言った……ずっと…言いたかったんだ。俺の大切な人の事…聞いてくれて、ありがとう」
す~ す~
熟睡
「こんないい男。きっとまたすぐに彼女出来るよ」
そう言って頭を撫でてやると
「ん~?…かのじょ……いらね~…」
ふっ…
強がってる
久しぶりに飲んだら…
俺も…
眠くなって……きた………
最初のコメントを投稿しよう!