雪side

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暇だ 毎日、大学とバイトで埋め尽くしてたのに 今日は何をしようか 掃除も洗濯もした あと…何すればいいんだ? 課題か 今のうちに、色々やっとくか 飽きた 昼だ なんか食べるか ヴヴ ヴヴ 『イチゴ、残り食べちゃっていいよ』 『ちゃんと、ご飯も食べろよ』 そうだった イチゴ なんか夏が、あり得ないご飯作ってたけど、どのくらい、減ったかな 冷蔵庫を開けると 「少なっ!」 小丼1つに収まってる 「さすが……こんくらいなら、食べれるかな」 今日、全部無くなりましたって、白峰(しらみね)さんに言ったら、びっくりするだろなぁ…… 「旨っ」 優しそうな人 俺が、あんなオモチャではしゃいでも、馬鹿にしないで まあ、仕事が仕事だからかもしんないけど ……なんとなく雰囲気が… 旭陽(あさひ)さんに似てるかなぁ そうだ 久しぶりに、俺が晩ごはん作るか 夏、今日バイトって書いてないけど、休みなのかな 『今日はバイトないの?』 ヴヴ ヴヴ 『今日はなし』 んじゃ、作るか 『じゃ、何食べたい?』 ヴヴ ヴヴ 『帰りに食材買って、帰ったら俺が作るから、大人しく休んでろ』 食材かぁ 買って来れない事ないんだけどなぁ 買って来たら、また煩そう 『過保護』 ヴヴ ヴヴ 『過保護で結構』 大学なんて、行く意味なくて でも、旭陽さんと先生が準備進めてくれてて 旭陽さんの、 「姉さん、雪君が大学に行くの、凄く楽しみにしてたんだから。ちゃんと行って報告してあげなよ」 という言葉に、つい乗ってしまった 講義も適当に選んじゃったから…… 夏に聞いて一緒にすれば良かった 「なあ……俺、怖かったよ。同じ男なのに、力で敵わないって……凄く怖い事だと思った。許した訳じゃないのに……許可したみたいに…何の抵抗も出来ないのが……悔しくて…」 誰? いつもふざけてる友達 ふざけて…そんな事する? 力で敵わないのは、単に体が大きいとか…… そういう理由? それとも、力が敵わなくなる様な、何かをされたから? ムカつく ふざけて、そんな事するのもムカつくけど もしも本気だとしたら 夏は、許した訳じゃないって言ってた 何の抵抗も出来ない位にされて…… 何された? 夏が…そんなに気にしてないのは…… そいつの事が……気に入ってるから? ふざけてだって、そんな事されたら、もう会いたくないとかあっても、おかしくないのに そんな事されても許しちゃう位 気に入ってるんだ…… なんか…… なんだろう…… 体の奥がざわつく様な…… 俺と夏は、他の人は知らない秘密を共有して 一緒に居る時間が長くなってるから 何か……友情と、同情と、家族愛みたいのまで混じってきて よく分からない感情になってるんだ 夏が誰を気に入ってようと 誰と付き合おうと 誰と、どんな関係になったって 俺がどう思ったって お互い関係ない 夏は、俺がほっとくと死ぬと思った大人達に、見張りを命じられた様なものだ だから、一緒に居るだけだ でも、夏が嫌がる様な事をしたり 夏を傷付ける様な奴は許さない 絶対、その相手聞き出して、どんな奴か見に行ってやる 夏が…嫌がってないなら…… しょうがない…けど…… 不快な… このざわつきは何? 夕方 バタン 夏、帰って来た? 「~~~~?」 「~~?~~~~?」 なんか……話し声 誰? そっと、ドアに近付く 知らない声 「夏希…」 「なっ!ちょっ……」 何? 静かにドアを開けると、夏に、知らない奴が抱き付いて、俺を見ている 「離せってばっ…!」 頭の先から 全身が痺れてるみたいだ 夏がそう言うと、俺の目を見たまま、夏の服の中に手を入れ始めた 腰……背中…… わざと、見せびらかす様な触り方 絶対…こいつだ 「ちょっ…と!ふざけんな!……離れろ!」 「ちょっと黙っててよ。雪、起きちゃうよ?」 わざと、夏の耳に口付けながら おかしそうに、俺を見ながら話す 夏が、震える様にして、そいつの胸で大人しくなる 怒りで……おかしくなりそうだ 「……夏から離れろ。お前…夏の…何?」 「ゆ……雪?」 夏が振り返ろうとすると、そいつが、夏の耳を弄りだす 夏が、動きを止めて また、そいつの胸の中で大人しくなる 腹の底から…何かが出て来そう…… 「友達以上恋人未満ってやつ?」 恋人じゃない…… 夏がちゃんと好きで付き合ってる奴じゃない そいつが、夏の背中の真ん中を、指です~っと上から下に下ろす 俺の目を見ながら 笑いながら 「んっ…!ちょっ…!空閑(くが)っ…」 夏が、そいつにしがみ付く くがって奴なんだ そんな声で…名前呼ばせて……許さない 「恋人じゃないなら、触んな!」 夏を後ろからぐいっと引っ張る 「…っはぁ……ゆ…雪?」 前にも、こんな事したって事か こんな風に…… 夏の許可もなく 抵抗出来なくして…… 許さない 「雪……こいつ…誰にでもこういう…ふざけた事する奴なんだ」 「……ふざけて…夏に触れるな。お前だろ?夏の事襲ったの」 「ああ…知ってたんだ?夏が知りたいって事教えてやっただけなんだけどね。いくら声上げても大丈夫な場所知っててさ。可愛いかったな~夏希」 体中…得体の知れないものが 駆け巡ってるようだ 「はぁ……おい…」 「帰れ」 「は?お前だけの家じゃないだろ?ってか、 恋人じゃないなら、雪も触れないね?でも、そんなの、君が勝手に決めたルールでしょ?俺の中では、そんなルールないから。じゃね、雪。夏希、また明日な」 「……おお」 バタン
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