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「雪……雪……ご飯、出来たけど、食べれそう?」
「………夏……おはよう?……ご飯?」
「うん。晩ごはんだけどな」
「………あっ!俺…そっか……夏、ごめん」
「謝んな。オムライスだぞ?」
「……うん。ありがとう」
もっと…
不機嫌になっていいのに
夏が、馬鹿が付く程親切だから
俺は、それに甘えてる
他の人だったら、とっくに置いてきぼりだ
「美味しい!」
「そうか。良かった」
「夏、あんまり料理した事ないのに上手だよね?」
「書いてる通りに作るからな。時間もかかるし。雪は、何も見ないで、適当に作れるだろ?そっちのが凄いよ」
「適当に作り始めたからな。最初は、酷いもんだったよ」
後から調味料足して、どうにかなるレベルじゃなかった
「最初って……何歳位から始めたんだ?」
「何歳だろ?小学……4年生?位から、手伝いだして、少しずつだったかな?」
「すごっ!そりゃ……ネットとか見れないもんな」
「掃除とか洗濯は、毎日じゃなくてもいいだろ?でも、料理は絶対毎日やんなきゃなんないから、早く少しでも手伝いたかったんだ」
ちょっとでも……
休める時間作りたかったから
「……おばさん、喜んでたろ?」
「うん……でも、ちょっと指切っただけで、救急車呼ぶって騒いでた。しかも199にかけようとしてた」
「199?」
「救急車は119だよって、何回教えても199って言うの。おかしいだろ?」
「……そっか」
「……結局最後は、自分が呼んで貰って、乗る事になったんだけどね」
「雪……」
死ぬまで……1度も目を覚まさなかった
「雪……聞きたくなかったら、ごめん」
「ふっ…そう思うなら、言わないでよ」
「いや…雪が、どう思ってるのか…分かんないから」
「何?」
「おばさんを轢いた人の事…恨んで、憎んでいいと思う。どんな理由があったって、殺人だ。その人のせいで、おばさんは亡くなったんだから」
「本当に申し訳ありませんでした!」
「こんな事をしても、何にもならないのは分かってます!これから、出来る限りの事をさせていただきます!」
「ふえっ……なんで……お父さんとっ……お母さんっ……なんで謝ってるの?ふっ…うえっ……悪い事っ……したの?うっ……ふぇっ……うえ~ん!」
皆の冷たい視線の中
揃って土下座をする両親の傍で
まだ小学1、2年生位の女の子が泣いていた
女の子が、何を言っても、泣いても、土下座をしたままだった
きっと…夫婦で話し合ったんだろう
奥さんが轢いたけど、旦那さんだって、今までと同じ生活は出来ないだろう
そういう…両親の覚悟と、お前はその子供なんだと、分からせる為に連れて来たんだとしたら
その子が……可哀想だと……思ってしまう
そんな風に思ってしまう自分が許せない
「……じゃあ…あの一家殺人事件が起きたら、犯人、俺だから」
「………分かった。じゃあ、裁判の時、呼んでよ」
「……ふっ…何真面目に答えてんの?そんな面倒な事しないよ。3人殺して刑務所行きなんて、俺が罰ゲームみたいじゃん?俺が消えた方が早い。そしたら、あいつらにだって、ダメージいくだろ」
「……だったら……俺も連れてけ」
「………は…はあ?何言ってんの?」
真剣な顔
今まで、そんなの言った事なかったのに
夏を連れてくなんて
出来る訳ない
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