オメガバースを文化人類学視点から読み解く

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オメガバースを文化人類学視点から読み解く

オメガバースって、ほんとに奥が深い世界観だと思います。 アルファ、ベータ、オメガ。 この3つの第2の性が、人々の生き方を良くも悪くも線引きするものなのですよね。 自作のオメガバース作品の『ACCOMPLICE』の意味は、『共犯』という英単語から取りました。 アルファの人間とオメガの人間が、秘密の契約を取り交わして正常だった関係性が崩れていく…というような設定です。 ビジネスの番という設定を作りまして、いささか変わったオメガバース作品にできたのではないかと思います。 文化人類学視点から読み解くとすれば、この物語の社会でのオメガの社会的地位の低さです。それを描きたかった。マイノリティなんですよね、彼らは。マイノリティだからこそ、希少価値も高いし、それでいてヒートが起きてしまうからお仕事に苦労する…そんな現実的な不条理を物語に組み込みたかった。 オメガへの悪質な行為に対する法律に関しても作ってみました。冒頭のテレビを見ているシーンです。 社会問題として取り上げることで、この物語の本質を描けるのではないかと思いました。世界観に奥行きが生まれるというか。物語も人間の化粧も、2次元ではないんですよね。平面じゃないんです。3次元の、立体なんです。光が当たる部分もあれば、陰ができる部分もある。白黒はっきりできないグラデーションの世界でもあります。現実的な世界に近くしたかった。誰かの夜になって、誰かの叫びの代弁になりたかった。本作はそんな社会に虐げられていた彼らの生き様を描きました。 自分はリアリズム傾向の思考なので、こういう設定が好きなんでしょうね。
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