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ぼくとおじょうちゃん
住宅街をぶらぶら歩いていると、辺りが急に暗くなって思わず立ち止まる私達。
「さっきまで満月で明るかったのに、なんか急に暗くなったなぁ」
「ほんま...急に雨でも降るんかなぁ」
一緒に何気に夜空を見上げると、真っ暗な空に一筋の光が目の前を横切った。
「えっ!あれ?見た?今の?」
「うん!見た、見た!流れ星やんな!」
お互い顔を見合わせ、夜空を指差す。すると、もう一度指差す方に少し尻尾の長い流れ星が横切る。
「わっ!すごっ!連続で流れ星!!見た?」
「見た見た!」
少し飛び跳ね、興奮気味の私達の距離が一人分程になった。
「二度ある事は三度ある...って言うし、もう一回見れるんちゃう!?」
「どうやろ?見れへんのとちゃう?...そう偶然が続くと思えへんし」
「いやっ!そんなん言わんといてー。駿さんにはロマンっちゅーもんがないんか」
「そんなんあるかいな。ないないー。そんなん僕に期待したらあかんわ、京子ちゃん」
「あー、ないって、勿体ないことしてはるわ。駿さんにはないロマンっちゅーもんが私にはありますんで、もし三回目見れたら、お願い事しよー」
「はいはい」
と軽口を言いながら、若干の期待を胸に、夜空を再び見上げる私達。そして、黙る。
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