再びぼくとおじょうちゃん

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再びぼくとおじょうちゃん

 (あれっ?) 顔に腕に...何かが付いた様な付いていない様な...。私は気になって、人差し指で自分の腕に軽く触れてみる。そしてそのまま指先の腹を見ると、きらきらしていた。次に人差し指と親指で擦り合わしてみると更々していた。(これ、なんやろう?)と考えていると心に何かが(みなぎ)ってきた様な...。 「京子ちゃん、大丈夫か?なんかぼーっとしてるけど」 「えっ?なんか言った?」 彼が何を言ったのかあんまり分かってなかった。 「いや、なんかぼーっとしてるし大丈夫かなって思って」 「あっ、私?うん、うん。ちょっと考え事しててん。そやし大丈夫!ありがとう!」 「そうか?それやったらええけど」 そう言うとほっと安心した様子の彼。そして私に向かって手をゆっくり差し出した。その手が気になってじーっと見ると、彼が「コホン」と一回咳払いをして、喋り出す。 「京子ちゃん...あの、手繋いで帰らへん?」 その言葉を聞いて、手から駿さんの顔へ目を移し、少し見つめて「ハイ!」と元気良く答えて、差し出された手を握る。私達の距離がゼロになる。彼は照れ臭そうにニコッと笑った。やっぱり彼の『ニコッ』に弱い私。どきどきしだす心臓。いつの間にか何かで一杯になった心が動き出す。 「あの、駿さん...」 「うん?」 少し緊張した面持ちで返事した彼。私は彼の手を少し握る。 「あんな、駿さん...あんな...帰る前に...帰る前にな、聞いてほしいことがあんねんけど...いいかな?」 「うん。いいで」 とやっぱり少し緊張した面持ちの彼が返事をして、私を見つめる。私はもう片方の手で胸を押さえる。そして...。 「あんな、駿さん...私な...駿さんのことがな...」
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