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第1話
時は、2024年5月4日の朝9時半頃であった。
場所は、今治市枝堀町にある大型の家にて…
家の前に10人乗りの白のトヨタグランドハイエースが停まっていた。
車に家の主・原武二郎真代の夫婦(60代前半)と長女・洋子(大学生・21歳)と長男・龍介(高校生・16歳)が乗り込んだ。
つづいて、この家で一緒に暮らしている二郎のオイ・徳久悠太(50歳・公務員)と3人の子どもたち・真希子(中2)と悠馬(小3)と真有子(4つ)が乗り込んだ。
悠太の妻・有希子(39歳)は、家に遊びに来た悠馬の学校の友人たち4人の応対をしていた。
この日、悠馬はお友だち4人と一緒に近くにあるオンマヤ公園に行く予定だったが二郎の都合が急に悪くなったので行けなくなった。
友人たち4人が有希子に対して『なんで予定変更になったのだよ!?』と口々に言うた。
有希子は、カドにやさしい声で友人たち4人に説明した。
「ごめんね…おじさまのツゴーが急に悪くなったのよ。」
「これからどこに行くのですか!?」
「おじさまが『お墓参りをしたい…』と言うたのよ〜」
「お墓参りに行くって〜」
「ご先祖さまにあやまりに行くのよ…」
「意味がわかんねーよ!!」
「だから、長い間お墓参りに行くことができなかったのよ…おじさまの実家のお墓参りが終ったら大急ぎで帰るから…それまでの間、オルスバンをお願いできるかな?」
「オルスバン?」
「帰り道にお菓子を買って帰るから…お願い…この通り…」
ニコニコ顔の有希子は、両手を合わせながら悠馬の友人たち4人に留守番を頼んだ。
有希子に『お菓子を買ってくるから…』と言われた友人たち4人は、留守番を引き受けた。
その後、有希子は車に乗り込んだ。
家族たち9人が乗り込んだグラウンドハイエースが家の前から出発した。
家族たちの予定は、真代の実家のお墓がある山方町のお寺さん〜二郎の実家のお墓がある丹原町関屋(西条市)のお寺さん〜帰り道に北高下にあるスタバでケーキを買いに行く…と言う形であった。
二郎は『長い間お墓参りに行くことができなかったのでご先祖さまにあやまりたい…』と言うたが、他にもわびなければならない理由があった。
洋子は、矢田にある短大に…
龍介は、推薦で入学した私立高校に…
…それぞれ進学したが、休学中だった。
洋子と龍介が入学した際にガッコーに提出した誓約書の保証人3人の中に真代の兄と二郎の姉が入っていた。
半年前に真代の兄がくも膜下出血で…
1年前に二郎の姉が交通事故で…
…それぞれ亡くなった。
真代の兄と二郎の姉は、中学を卒業したあと大阪へ働きに出たのでコーコー〜ダイガクへ行くことができなかった…
コーコー〜ダイガクへ行くことができなかったので、洋子と龍介にはつらい思いをさせたくない…
洋子と龍介が楽しい時間を過ごしている姿が見たいので、真代の兄と二郎の姉は誓約書の保証人を引き受けた。
ふたりとも、洋子と龍介が卒業式で卒業証書を受け取る姿を見ることを楽しみにしていた…
しかし、ふたりはホーコー処分〜ツイホーされる危機に置かれていた。
洋子は、ノイローゼを理由に入学した日から数日で休学したあと3年間に渡って行かなかった…
龍介は、ガッコーで暴れてばかりいたことが原因で1年間休学したあと1年生からやり直す形でフクガクしたが、また休学した…
今回のお墓参りは、洋子と龍介がご先祖さまと故人の顔にドロを塗りつけたことをわびるためであった。
………
話は戻って…
家の中にて…
有希子から留守番を頼まれた悠馬の友人たち4人は、ネット対応の地デジテレビの前でオンラインゲームを楽しんでいた。
4人は、有希子はヤクソクをきちんと守ることができるから大丈夫だと思ってノンキにかまえていた。
しかし、時間のケイカとともに不安が増幅した。
彼らに留守番を頼んだ有希子は、関屋のお寺さんから家までは1時間ちょっとで帰ることができると思ってノンキにかまえていた…
有希子のケーソツな性格が原因で、このあと取り返しのつかないもめ事が次々と発生した。
お墓参りを終えたらすぐに帰らなきゃいけないのに…
お菓子を買って帰ると言うたのに…
アタシひとりのせいで、深刻なトラブルが発生した…
どうしたらいいのよ…
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