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第４話
ところ変わって、有希子の実家にて…
（カーン、カーン、カーン、カーン、カーン…）
柱についているカシオの電波時計が夕方５時を知らせるかねを鳴らした。
それと同時に、ともえがひどくオタついた。
おそいわね…
舘野くんは今どこにいるのよ…
また同時に、有希子たち９人家族がひどくイラついた。
それなのに、正行が『しめのうなぎが食べたいよぅ〜』と言うて泣き出した。
なさけないわねもう…
ともえは、メソメソ泣いている正行をブベツする目つきでにらみつけたあと有希子に言うた。
「有希子…」
「おかあさん〜」
「ちょっと、近くのスーパーへ急いで行ってくれる？」
「どうしてよ？」
「舘野くんがうちらにウソをついてどこかへ行ったようだから、近くのスーパーで売っているかば焼きに変更するのよ〜」
それを聞いた正行が困った声で言うた。
「待ってくれ〜」
「おとーさん!!」
「わしは、あの店のうなぎじゃないとイヤだ!!」
「あなた!!わがままを言わないでください!!」
「わしはあの店のうなぎじゃないとイヤだ!!」
「なさけないわねもう!!あなたはそれでも男なの!?」
「なんやオドレ!!」
この時、真代が困った声でともえに言うた。
「奥さま、すみませんけど私たちは急いで家に帰りたいのです…」
「困るわよ〜」
「奥さま!!悠馬のお友だちたちがものすごく困っているのよ!!」
「だから、後日うちがあやまりますから…」
「奥さま!!」
「分かりました〜…それじゃあ、有希子…」
「なによぅ〜」
「有希子、あんた運転免許証を持っているのでしょ…」
「持ってるけど、家に置いてきた…」
「家に置いてきた…有希子!!」
「だって、お墓参りを終えたらすぐに帰ると決めていたから主人に運転を任せたのよ!!」
「なさけないわね!!それじゃあどうするのよ!?」
この時、正行が女々しい声でともえに言うた。
「おい、やめろ…」
「あなた!!」
「そんなにガーガーおらぶな…ワシ、しんどい…」
「あなた!!」
「なんだよぅ〜」
「有希子は免許証を持たずに家から出たのよ!!」
「だったら泊まっていけ…」
「あなた!!」
「あすの朝に帰ったらいいだけじゃないか…」
「それじゃあ、悠馬のお友達は放置しろと言うのね!!」
「そんなことは言うてないよ〜」
「あなた!!」
「わしは泊まっていけと言うただけだ!!」
この時、近くにいた龍介が正行に殴りかかった。
「オドレクソジジイ!!ぶっ殺してやる!!」
有希子は、必死になって龍介を止めた。
「龍介さんやめて!!」
「離せ!!」
「おとーさんは、龍介さんが通っている私立高校の誓約書の保証人になっているのよ!!」
「だまれ!!このクソジジイのせいでオレの人生が狂った!!」
「許してくれ〜」
思い切りブチ切れた龍介は、右腕で正行の首に巻き付けて押さえつけたあと床へねじ伏せた。
有希子とともえと真代は、必死になって龍介を正行から引き離そうとした。
（ウーーーーーーーーーーーーーーーッ!!ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!!カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン!!）
ところ変わって、菊間町種の国道196号線にて…
より不気味なサイレンと近くにある消防団の詰め所のハンショウが鳴り響いていた。
この時、松山方面から今治市中心部へ向かう上り線で大渋滞が発生した。
大渋滞の先頭は、ＪＲ伊予亀岡駅へ向かう旧道との交差点付近にあった。
その付近で重大な事故が発生したようだ。
（パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ…）
ピンク色に染まっている夕空に愛媛県の防災ヘリが旋回していた。
この時、卓が運転している白のマツダデミオが道路上に停まっていた。
助手席には、うなぎ屋で購入した特上のうな重12人前が置かれていた。
卓は、ものすごくイラついた表情を浮かべていた。
早くしてくれ…
うなぎが冷めるよ…
抜け道はどこにあるのだよ…
そうこうして行くうちに、時計のはりは夕方５時半になった。
またところ変わって、有希子の実家にて…
「ワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
思い切りブチ切れた龍介は、右足で正行をけとばした。
「殺さないでくれ〜」
正行は、女々しい声でゆるしごいをした。
「龍介さんやめて!!」
「離せ!!」
有希子は、必死になって龍介を正行から引き離した。
（ジリリリリリン!!）
この時、大広間に置かれている黒のダイヤル式の電話機のベルが鳴り響いた。
「電話がかかって来たわよ…舘野くんが助けを求めているかもしれないわ…」
そう思ったともえは、受話器を手にしたあと話をした。
「もしもし舘野くん…すみません…田之尻のうなぎ屋のご主人でございますね!!」
電話は、うなぎ屋のご主人からであった。
うなぎ屋のご主人は、ものすごく困った声で受話器ごしにいるともえに言うた。
ご主人は、左手に卓が忘れていったスマホを持っていた。
「もしもし奥さま!!有希子ちゃんのお友だちがスマホを忘れて行ったので困っているのだよ…」
「えっ!?舘野くんがスマホを置いて店から出たって…もしもしご主人!!」
たいへんだ…
卓がスマホを置いて店からでた…
卓がすごく困っていると想う…
けれど、卓が今どこにいるのか分からない…
家族たち全員は、大パニックを起した。
その頃であった。
卓は、うな重を早く届けることしか頭になかったので、スマホを置いて出たことに気がついていなかった。
どこで事故が発生したのだ…
早く通り抜けたい…
だけど…
先に行くことができない…
どうしよう…
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