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Prolog
頭が、ふわふわする。
ちょっと、飲み過ぎたかな?
「先輩?」
遠くの方で、誰かに呼ばれた気がする。
気のせいかとも思ったけど、
「――亜莉花先輩?」
もう一度名前を呼ばれた事で、やっぱり私を呼んでいると分かり重い瞼をゆっくりと開いてみる。
すると、ぼんやりとした視界に映ったのは――見覚えの無い男の人。
「…………え?」
その姿が徐々に鮮明になると私は思わず声を上げて起き上がり、目の前に居る見知らぬ彼を見つめていた。
けれど、
「先輩、大丈夫ですか?」
見覚えは無いけど、この声には聞き覚えがある。
「亜莉花先輩?」
そして、フリーズしたままの私を覗き込むように目の前の彼が私を見て来て目が合うと、
「……え? た、小鳥遊……くん?」
目の前の彼が、同じ会社の後輩で見た目も仕事ぶりも冴えないと陰で言われている小鳥遊 愁くんだと気付いた。
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