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「先輩の部屋、どこです?」 「に、二階の角部屋……」  部屋の場所を問われて指を差しながら答えると、 「……確かに、誰か居るようにも見えますね」  そう口にした小鳥遊くんは何故かエンジンを止めてシートベルトを外し、車を降りようとする。 「た、小鳥遊くん?」 「俺が確認して来ますから、先輩はここに居てください」 「え!? だ、駄目だよ、誰だか分からないし、小鳥遊くんに迷惑をかける訳には……」 「何言ってるんですか、知り合いならまだしも、誰か訪ねてくる予定はないんでしょう?」 「そ、それはそうだけど……」 「こんな治安悪そうな場所だし、先輩の部屋は二階の一番奥だし、変な輩だったらどうするんです?」 「そ、それなら尚更、危ないよ……」 「先輩が行くより俺が行く方がまだマシです。男ですからね。それに、こんな危険かもしれない状況の中、大切な人を一人で行かせる訳ないじゃないですか。っていう訳で、先輩はここに居てください」  小鳥遊くんのその言葉に胸がトクンと高鳴る。 (……こんな状況でそんな事言うとか、反則だよ……)  正直、こういう時に男の子が居てくれると助かる。  もし一人だったら怖くて足が竦み、確かめる事すら出来なかったと思うから。  小鳥遊くんが私を車に残して出ようとするのを、「わ、私も行く!」と言って慌てて車を降りて後に続く。 「先輩は車に居ていいのに」 「ううん、私の部屋の前だし、やっぱり私も確認しないと……」 「分かりました。とにかく、先輩は俺の後ろに居てくださいね」 「う、うん……」  気付けば雨は再び小雨になり、私たちはアパートの階段を上って二階へ。  そして、少しずつ奥へと近付いて行くと、私の部屋の前には一人の男の人がドアをノックしながら立っている。 「おーい、居るんだろ? おいってば!」  だけど、その人に見覚えが無い。 「あの、うちに何か御用ですか?」  小声で私に確認して来た小鳥遊くんに見覚えが無い事を告げると、彼はドアの前にいる男の人にあたかも自分の部屋であるかのように用件を問いながら声を掛けた。
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