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まずいまずいまずい。
後ろ向きで、さらに地面が雲とかいうファンタジックなものだから、私の足はなかなか進まない。
いや、私が遅いのもあるけど、あの人(?)早くない⁉︎
人影は姿をしっかり認識できないうちに、いつの間にか私の目の前まで来ていた。
そして、私の腕を掴む。
諦めのいい私。諦めの良さって、こういう時、自分を楽にしてくれるよね。
覚悟を決めるどころか、私はされるがままになろうとしていた。
「ちょっと、後ろ向きに歩いていると危ないわよ」
・・・?
閉じかけていた目をもう一度開けると、少し視界が晴れて、女の人の顔が見えた。薄い、緑色の髪で、何色も混じり合ったような瞳をしている。
「・・・どちらの惑星の方デスカ」
「は?ワクセイ?」
怪訝そうな顔さえ美しい・・・
じゃなくて。
「あ、それはどうでもいいわ」
あ、貴方もそう思いますか。
「貴方、名前は?」
「ここは天国ですか?」
ほぼ同時に喋った。
「いや、名前じゃないか。もっと重要なのは、貴方、なんで姿があるの?」
姿があるの??
私が困惑していると、女の人は頭に手を当てた。
「ああ、ここの記憶、ほぼみんな持ってないのよねー。普段魂とそんな話しないからすっかり忘れてたわ。ええと、どこから話すべきかしら。そうね、まずは───貴方、手違いでここに来たのね」
・・・ん?
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