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あたりには、小さな光がほわほわ浮いているだけ。周囲は少し靄がかかっているように見える。
足元は雲みたいで不安定だけど、重力を感じなくて、跳ねるように進むことができる。
なんで誰もいないんだろう・・・
少しずつ広がっていく雲?の先を見ると、白い門が見えてきた。ファンタジー系のゲーム出てきそうな景色だ。あそこが、天国の入り口なのか・・・待てよ?
あそこが入り口?
なら、もしかしたらここはまだ引き返せるゾーンってこと?私、まだ生きてる?病院のベッドとかで唸ってる感じ?入院したことないから知らないけど。
「・・・戻ろっかな」
危ない危ない。ギリギリでその可能性に気がついた。
もしここに既にたくさん人がいたなら、ああ、死んだのかって諦めたかもしれない。でも、私は今、全然死んだ気分じゃない。
引き返そうと思って回れ右をしようとしたら、不安定な足元のせいで全然回れなかった。
あれ?
待って、私が下手なの?それともそういう仕組みなの?後戻りはできないってこと??
人生が終わっている(かもしれない)時でさえ、後戻りは許されないってか。そんなの、生きている間だけで勘弁してほしいんだけど。
試しに後ろ向きのまま歩いてみると、なんとか戻れた。
よしよし、行ける。多分。
でも、また門の方を見て、私はあるわけもない心臓が跳ね上がった。
人影があるのだ。
しかも、
「・・・こっちに来てない?」
え、もしかして連れ戻される⁉︎
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