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天の国
ハヤエはまだ動くのが下手な私を引っ張って、門を通った。
こんなにもあっさり天国の門を抜けるとは・・・なんでハヤエこんなに早く動けるの??私、一歩踏み出したかも怪しいんだけど。スライドしていった気がするんだけど。
「はい、ここが天の国。あの建物は、私たち管理人が過ごしている場所よ。神緻宮って呼ばれているの」
・・・うわぁ。
ゲームの世界でしか見たことのない、真っ白な城みたいな建物。
「で、そこら中にいる光たちがまっさらになった魂よ」
・・・あ、これ魂なの?この、ずっと周りでほわほわ浮いてるやつが?
誰もいないって思ったけど・・・めちゃくちゃ居たんだな。
「魂が、次の肉体に宿るまで過ごすのがこの天の国。神緻宮の広い庭みたいなものよ」
絵に描いたような場所だ・・・。人間の想像だと思ってたけど、あながち間違いじゃないんだな。
それとも、人間の想像に合わせて神様が造ったのかな。
「ハヤエ、なんだその小娘は」
機嫌の悪そうな声が、いつの間にか目の前で聞こえた。
・・・本当に、どうやってそんな早く移動してんの?
薄い青い髪をした、男の管理人が現れた。
「あら、見たらわかるでしょ」
どうも、手違いで来た者です。
すると、男の管理人は私をひと睨みして少し目を瞑ったかと思うと・・・
「山添見世、16歳。田んぼに突っ込んだ死にかけ。馬鹿な娘だ」
え、なに、怖っ!
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