妄想コンテスト第222回「のびる」応募作品「才能」

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なにをやっても要領の悪いぼく。 兄はなにかにつけぼくの苦手な部分をフォローしてくれる。 兄は教えてくれた。 ゆっくり伸びたほうが大きくなるんだぞ。 そう言って猫のみぃこの脇を抱えてそろそろと伸ばしていく。 みぃこは兄の胸元までのびた。 ぼくはびっくり仰天。 でも、一度足元におろしてひょいと持ち上げたら 足を縮めていつもの大きさにしかならなかった。 兄はおもしろい。 いつもぼくの手をひっぱって連れて行ってくれる。 ぼくの手もゆっくりひっぱられて だんだんのびているのかな そう思うとおかしくてくすっと笑ってしまった。 兄も笑っている。 ゆっくりでもだんだん兄においついていきたいな。 兄ちゃん、もう少しその手を離さないでね。
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