2話

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 勝手に知られている、というのは例えユーリーがミステリアスなイケメンであっても怖いものだ。  それに、もしどこかで会っていて私が忘れているのなら申し訳ないし、とても失礼だろう。 「それに、どうしてあのとき助けてくれたの?」  その理由もまだ分からないままだ。  助けてくれた理由がわかれば、ユーリーが私のことを知っている理由にも繋がる気がする。  ユーリーはようやく魔術書から顔を上げた。   「……君のことが好きだから、って言ったらどうする?」 「え」    薄紫の瞳と目が合う。  ユーリーの瞳の奥に熱が揺らいでいるように感じられて、私は思わず呼吸を止めてしまった。 「……そんなこと、あるわけないでしょ」  なぜだか、緊張して口の中が乾く。  ユーリーが私のことを好きだなんて、ありえないだろう。    私は公爵令嬢として生きてきた。見たところユーリーは身分があるわけでは無さそうだし、社交界での接点も無いだろう。  そうなると、私がユーリーに出会っている理由がない。  出会っていないのに、好かれるわけがない。 「なに、もしかして私のストーカーでもしてたわけ?」  どこかで私を見かけて勝手にストーカーとなっていた、ならまだ納得できる気がして茶化すように言うと、ユーリーはふと考え込んだ。 「……確かにそうかもしれない」 「否定してよ!」
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