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一見すると、犯罪者にしか見えない。
私が男たちを見定めていると、外から別の男が走ってきた。
どうやら3人組らしい。
「ユーリーは?」
「居ないみたいッス」
リーダー格らしき男が尋ねると、あとからやってきた男が返事を返した。
「ちっ、間が悪いな……。女だけでも連れてけ。交渉材料にはなるだろ」
そういうと、男の一人が私の体を羽交い締めにしてきた。
「え……。ちょっと離してよ……!」
抵抗しようと試みるが、力が強くて上手くいかない。別の男が私の口元にハンカチを当ててきた。
どこかで嗅いだことのある、甘い香りがする。
――これ、私が前にすり潰した……。
水と混ぜて煮れば強い睡眠薬になるという、あの草の香りだ。
気づいた時にはもう遅い。
私の意識は闇の中へと溶けていった。
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