4話

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 程なくして馬車が止まった。  ヒヒィン、と馬が大きく鳴き、どこかへ走り去っていくひづめの音がする。男たちの声も聞こえなくなる。  ――え、な、なにごと……!?    私が動揺していると、ぱちぱちとどこかから何かが燃えるような音がしてきた。  それに、馬車の中が熱くなってきたような……。    ――まさか!  はっと周囲を見ると、馬車から火が上がり始めているようだった。  ――ああ……、私が薄幸(白光)令嬢だなんて思ったからかしら……?  誘拐された挙句、運悪く馬車が燃え、縛られているせいで逃げられもしないとは……。  確かに元から幸が薄い方だという自覚はあったが、これはさすがに酷い。  ついていないにもほどがあるだろう。  あまりの運の悪さに、気が遠くなってしまう。  ――違う。それだけじゃなくて、煙を吸ってしまったからだ。 「けほけほ……っ」  薬のせいで上手く喋れないというのに、煙を吸ったせいで喉が焼けるように熱い。  周囲の火はどんどんと大きくなって、視界が赤く染まる。  ――ああ、もう……。  熱くて、苦しくて、何も考えられない……。 「フェリシア!!」
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