1話

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 そうして四度目の婚約破棄が告げられて、なんだか気持ちが冷めてしまった。  ――そんなにエレノアが好きなら、もう好きにして。姉と婚約が決まっているのに義妹に手を出すような男、私だって願い下げよ。 「……そうですか」  私はただ一言だけ返した。  エレノアが私を見て、勝ち誇ったようにニヤリと笑う。それを合図に世界がぐるりと回り、暗くなる。    ――ああ、やっぱりまただ。  ぐるぐると回る視界の中、私は考える。    ――もし、またあの日に戻るなら……次は……。  ◇◇◇◇◇◇ 「……では、よろしくお願いします」 「ああ、こちらこそ。今後ともよろしく頼む」  はっと目を開けると、そこは屋敷の客間だった。  私の隣には、ウィングフィールド公爵家の当主であるお父様。目の前には、ヘンリー様とそのお父上である伯爵様が座っている。  ――やっぱりまた戻ってきたみたいね。  このシーンを見るのはこれで五度目になる。  忘れもしない、ヘンリー様との婚約が決まった日だ。 「これからよろしくね。白光(はっこう)の令嬢として名高い君と婚約できるなんて嬉しいよ」 『白光の令嬢』とは、私のことを示すあだ名みたいなものだ。  ホワイトブロンドの髪や肌の白さから、私は社交界で『白光の令嬢』と呼ばれていた。  ――何が白光、よ。白光じゃなくて、薄幸の間違いでしょ。  
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