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消えてなくなるのだろうか。それとも再びループの流れに戻るのか。
意識が遠くなっていく中、ユーリーが魔法を使う気配がした。
――ああそっか、そういうこと。
そうして死の直前になって、私は全てを思い出し……そして気づいたのだ。
――――――
俺の腕の中で、フェリシアが目を閉じる。
俺の腕の中で、フェリシアの命の火が消える。
そんなこと、俺は許さない。
彼女が幸せになれないなんて、許さない。
フェリシアが幸せになるためなら、俺の生命なんて安いものだ。
彼女のためなら俺は、何度だって寿命を差し出して時を巻き戻す。
俺は――。
「……」
俺は、まだ温もりの残るフェリシアの唇へ、自分の唇を押し付けた。
「君の不幸な結末なんて、俺が覆してみせるよ」
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