5話

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 もうすぐ父親が再婚すること。義妹ができること。当時片思いをしていたヘンリー様のこと。  多分、誘拐された恐怖でおかしくなっていたんだと思う。  突然部屋にやってきた、少し年上で眼鏡をかけた銀髪の少年をやり過ごすための、私なりの対処法だった。  やがて私はユーリーに聞いた。 「あなたはどうしてここにいるの?」と。 「……俺はこの組織に拾われたからここにいる。それだけだよ」  どうでも良さそうにユーリーが答える。  今よりも能天気に生きていた当時の私には、あまり理解できないものだった。   「……ふぅん? お父さんやお母さんの代わりをしてくれているってこと?」 「違う。俺の魔術の力を利用しているだけだ」  当たり前だが、魔術なんてそうそう見られる機会なんてない。  私はユーリーのその言葉に目を輝かせて身を乗り出した。   「あなた魔術が使えるの!? 見てみたいわ!」  はしゃぐ私の様子にため息をついたユーリーは、仕方なさそうに魔法を使ってくれた。  あの、白い花が出る魔法だ。  白い花が、甘い香りと光を放ちながら現れる。  この瞬間こそが、本当に私が初めて魔術をみた瞬間だった。    私はこの時も、ユーリーの魔術に目と心を奪われた。 「すごい! 初めて魔術をみたけど、とっても綺麗! あなたのその力、絶対他のことに使った方がいいわ!」 「他の、こと?」
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