6話(最終話)

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6話(最終話)

「……気づいてしまったのか」 「ついでに全部思い出したわ」  私がそう付け足すと、複雑そうな表情をユーリーは浮かべた。  困ったような、でも嬉しいような、そんな顔。   「どうして私を何度もループさせたの」  間髪入れずに私は聞いた。逃げられないようにじっと見つめる。  ヘンリー様から婚約破棄される度に、私は繰り返しループさせられていた。それがどれほど私を困惑させていたか。  ユーリーははぁとため息をついた。私の視線に、逃げられないことを悟ったのだろう。 「君が俺に言ったんじゃないか。あのヘンリーとかいう男のことが好きなんだって」  確かに、私は昔ユーリーに言った。  社交界で知り合ったヘンリー様がかっこよくて素敵なのだと。残念ながらその男は、婚約者の義妹に手を出すクズ男に成長してしまったが。 「俺は、君に魔法を褒められたあの日から、君のことが好きで。……ずっと君の様子を見守ってきた」  ――それって、やっぱりストーカー……。  思ったものの、口には出さない。  見守っていてくれた、というのは嬉しくもあるが、生活のあれやこれやを見られていたかもしれないというのは少し複雑なものがある。 「俺は、君の隣に立てるような綺麗な人間じゃないから。俺は、君を幸せにはできないから。……せめて、君が好きな相手と幸せになって欲しかったんだよ」  ――この魔術師は本当に……。
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