6話(最終話)

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「だから俺は……自分の寿命を対価に、君が幸せになれるまで時間を巻き戻すつもりだった」  なんて、優しいんだろう。  なんて、悲しい人なんだろう。 「ユーリー……」 「それなのに、今回君がおかしなことをするものだから、様子を見に行ったらこれだ」  おかしなこと、とは私が婚約破棄される前に婚約破棄したことだろうか。  男たちに森で襲われていたとき、タイミングよくユーリーが助けに来てくれたことにようやく合点が行く。 「ずっと我慢していたのに、どうしてくれるんだ? 君とこんなに近くで過ごしてしまったら、返したくなくなってしまうじゃないか」    私の腰に回されたユーリーの腕に、力が込められた気がした。  悲しそうに話すユーリーに、私まで余計に泣きたくなる。  だけど、私にはどうしても言いたいことがあった。 「あなた……ほんとにばっかじゃないの!?」  この魔術師は、優しくて悲しくて、そして何より大馬鹿者だ。 「そんなこと、いつ私が頼んだのよ! 私の幸せは私が決めるわ!」  私がそう言うと、ユーリーはぽかんとしていた。 「あなたが綺麗な人間かどうかなんてどうでもいい。私はあなたのことが好きで、一緒にいたいし……あなたの魔法にずっと惹かれているのよ! だから――っ!?」  まだまだ言い募ろうとした唇は、柔らかなものに塞がれた。  ユーリーの唇だ。
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