1話

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 この結婚の意味なんてわかっている。  だけれど私はもう、ヘンリー様との結婚にうんざりしているし、エレノアにもお義母様にもお父様にも嫌気がさしていた。  ――なにより、もうループするのは嫌だ。    怒鳴る父を尻目に、私はソファーから立ち上がった。 「勘当でも好きになさってくださいな。私はこの家を出ていきます」  呆気に取られている三人を放置して、私は急ぎ足で自室に向かった。    ◇◇◇◇◇◇    ――ああ、やっと解放された! そもそもの婚約がなければループなんてしないでしょ!  すぐさま家出の準備を整えた私は、開放的な気分でトランク片手に森を歩いていた。  とりあえずの目的地は、森を抜けた先にある町だ。  今の私は、必要最低限のものと、お金になりそうな宝石数個しかもっていない。  町に着いたら宿と、それから仕事を見つけよう。  私は令嬢ではなく、ただのフェリシアとして生きていく。  と、私が決意を固めていると……。 「ああ? なんでこんなところにこんな身なりのいい女がいるんだぁ?」  柄の悪そうな男たちと遭遇した。  一応持っていた中で一番簡素なワンピースを身につけたつもりだが、(元)お嬢様であることが見抜かれてしまったらしい。    私の姿を上から下まで眺め、男たちは顔を見合わせる。 「どっかの令嬢か?」 「売ったら金になりそうだな」
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