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私の言葉に、ユーリーがぎょっと目を剥く。
それを見て、私は決めた。ユーリーについて行くことを。
「私をあなたの弟子にして」
「な……」
私の発言に、ユーリーが絶句している。
でしょうね、と私も思う。
本来の私であれば、こんな決断はしなかったかもしれない。
しかし、繰り返しを終わらせたい一心と、半ばやけになっていたせいもあったのだろう。
ユーリーは悪い人ではないと思う。私のことを助けてくれたし、お守りの花とやらもくれた。
どうせ行くあてもない。それならいっそ、心のおもむくままに行動してみたい。
ユーリーがどうして私のことを知っているのか気になるし……。
そしてなにより、彼の魔法に惹かれたのだ。
「……弟子って言っても、君……魔力ないでしょ」
ちらりと私を見たユーリーは、苦笑すると歩き始めた。
「ないけど……雑用でもなんでもするわ」
ユーリーは身長が高いせいか歩幅も大きい。
私は早歩きでユーリーを追いかけながら答える。
「……家には帰らないんでしょ? まさかとは思うけど住み込む気? 俺と二人暮らしだよ?」
「ダメなの? あなたはいい人でしょ?」
この人は、多分私の嫌がることはしない。
なんだか妙な確信があった。
先手を打つようにそう言うと、ユーリーは言葉に詰まったようだった。
「……わかったよ。君の気が変わるまで面倒見よう」
「ありがとう!」
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