第七皇子のしあわせ

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 しかし、あるとき書庫は閉ざされました。  もうそこに行くことは許されないと、あるとき僕は告げられました。  世界の知恵に、もう、会いに行くことはできません。  世界の花や、人々の暮らしの喜びの記録に、僕はもうふれることはできません。その夜、僕は泣きました。もうそこで見ることができないたくさんの世界のかけらのために、僕は夜通し、泣いたのかもしれません。  でも。翌朝僕は、もう泣いてはいませんでした。  なぜなら僕には、まだたくさんのものが残されていたからです。
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