君の好きな人は、私の友だち。……だったはず。

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「何してんの?和田。」 4人で遊びに行っていたのに余っちゃった私たち2人は暇を持て余し、2人で遊びにくるしかなかった。 ファーストフード店でテーブルを囲むと和田はコーヒーフロートのアイスをストローで突いていた。 「俺、好きな人欲しい。」 「はあ?」 「古内を忘れたい。」 「忘れたいって、あんた茉莉花と付き合ってもいないのに?」 「古内は初めから室井が好きだった。俺が室井誘ったのはお前のためだったのに。」 「まー、そうだね。そうだった。」 メロンソーダを吸い上げて、和田の顔を見てみれば失恋をした顔をしていて。私も…失恋は同じだけど、和田の方がもっと想いが強かったのかもと感じた。 「でも、お前。室井とあんま話そうとしなかったじゃん。カッコ良すぎて近づけないとか言って。だから、室井は茉莉花とくっついたんじゃないか?」 「えー、じゃ。茉莉花と室井くんが付き合ったの私のせいだっていうわけ?」 「うん。」 “うん。”て。 「いやいやいや。あんたこそ途中で引いちゃうんだもん。んで、私んとこきちゃうからさ。そしたら、茉莉花だって室井くんとこ行くよ。」 「……お前、明るくて気ぃ使わなくていいやつだよな。」 「え。それは、…それは、…和田も。じゃん。」 和田がため息をつくから、私もため息をついた。 「あ、真似すんなよ。」 「真似じゃない。つられたの。てか、アイス溶ける前に食べ。」 「あー、うん。」 自分のポテトで、和田のアイスを掬って口に入れた。ポテトのしょっぱさと相まって口の中がミラクルになった。 「ちょ、お前。これ俺の。」 「和田もやってみ?」 「はあ?」 私たち2人はくだらないことで盛り上がって失恋の傷を癒やしあった。
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