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大切な人への思い。
僕達は、結婚して
もうすぐで10年目になる。
しかし、結婚して10年目と言っても
若いうち結婚したので、夫婦で
まだ28歳のわりかし若い夫婦だと思う。
子供は居ないし裕福では、無かったが……
大好きな彼女とーー
毎日、一緒に居られる生活は僕にとっては、幸せ以外の何ものでも無かった。
彼女は、童顔で周囲からよく年齢より若く見られる事の方が多かった。
それは、子供の頃から変わっていない。
僕は、子供の頃から彼女の事が大好きだった。
彼女の顔が好きだった……
彼女の優しい性格が好きだった……
彼女の声が大好きだった。
そんな彼女は、とても歌が上手で
将来の夢は、歌手になる事だった。
しかし、彼女は家庭の事情で
その夢を諦めた。
夢を諦めた彼女は、必死に働いていた。
幼き頃から彼女の事も彼女の家の事情も知っている。
僕は、必死に働く彼女が心配でーー彼女の力になりたいと思っていた。
けれど、彼女はーーそんな僕の好意を受け入れてはくれない。
そう、彼女からすればーー何の関係もない僕が力になるのは理解が出来ないからだ。
だからーー僕は、ダメ元で彼女にプロポーズをした。
彼女は、はじめ凄く怒っていたがーー
僕が必死に彼女への想いを伝えると……
彼女は、突然泣き出した。
彼女は、きっと…….色々な事を我慢して諦めて来たのだろう。
そして、恋愛も
その中の1つであったのだろう。
僕が彼女への想いを伝え終えると、彼女も僕に想いを伝えて来た。
彼女も僕を幼い頃から、好きでいてくれていた。と
聞いた時は、とても嬉しかった。
それから少しして、僕達は結婚した。
そして、結婚生活が始まった。
結婚生活と言っても、一般的に言われるような幸せな物では無かった。
彼女の力になりたいと思い結婚した僕だが、結婚してまもなくーー僕の母親が倒れ。
彼女を助けるどころか彼女に助けてもらう形となってしまった。
それから僕達は、母の看病をしながら……
2人で、必死に働いた。
僕は、彼女に申し訳ないと思いながら。
そんな中でも……彼女は、いつも笑顔で
給料日に行く安いラーメン屋は、月に一度の唯一の贅沢だったが彼女と一緒に食べる。
ご飯は、どんな物でも美味しく感じれた。
そして、この時ーー僕が思っていた思いは
彼女を幸せにしたい。
ただ、それだけだった。
なのにも関わらず。
僕は、彼女に色んな物を貰ってばかりだ。
手先が器用だった彼女は、僕の誕生日には必ず手作りのプレゼントを作ってくれた。
僕は、彼女にプレゼント何てあげた事が無かったけどーー彼女は、いつも笑って!
「プレゼント何て要らないよ。」と、言うだけ
それから、10年間。
必死に走り続けると……
少しずつ……生活は落ち着き始め。
自分達の時間を作れる様になった。
だから、僕はーー彼女への10年分のプレゼントだと思い。
結婚式を挙げる事を彼女に、提案すると
彼女は、また笑って……
「今更、良いよ。
それに、2人で撮った写真だって近くの公園の写真しかないし。」
ならばーーと、思い。
僕は、彼女に旅行をプレゼントする事にした。
海外でも高級なホテルでもないけど……
2人で初めて行った国内の安い旅行を彼女は、とても喜んでくれた。
そして、お酒を飲んだ事もあり。
僕達は、旅館にあったカラオケで歌を歌った。
久しぶりに聴く。
彼女の歌声は、昔と変わらずーー
とても、心地よく。僕の心に響いた。
そして、僕は、何気なしに彼女の歌声をケータイに録音した。
それから、数日。
僕達は、いつも通りの生活に戻っていた。
前より時間は、取れる様になったが……
生活は、まだまだ厳しく。
ボロいアパートで、いつもの様に彼女の手料理を食べながらテレビを見ていると、素人歌ウマ選手権が流れていた。
「この人達より。
君の方が、上手いんじゃない?」
「そんな事ないよー……でも、嬉しい。」
そう言って、喜ぶ彼女を見て……
僕は、彼女の歌声を録画した事を
すっかり、忘れていた事を思い出した。
そして、彼女に
「また、カラオケ行こう。」
そう言うと、彼女は喜んだ。
それから、数日して
僕は、何気なしに彼女の歌声をSNSにアップすると
それは、瞬く間に拡散し……バズった。
それから数週間後……
僕の元に、1通のメールが届いた。
それは、大手事務所からのスカウトだった。
僕は、怪しいと思い。
入念に調べてから連絡をすると
スカウトの話は、本当の事であった。
しかし、旦那である。
僕が連絡をした為に、大手事務所は結婚している事を懸念した。
そして、ある提案をして来た。
彼女は、まだ若い為。
僕と離婚をすれば、歌手としての道を全面的にバックアップするとの事だった。
そして、大手事務所はーー彼女が歌手になれば……夫婦としてのすれ違いが増え。
遅かれ早やかれ結果は変わらない。と
告げた。
僕は、この時ーー思った。
大手の事務所が、彼女をバックアップすれば
きっと、必ず歌手になれるとーー。
歌手は、彼女の夢だ!
色んな、しがらみから諦めてしまった。
しかし、今は……その夢を掴むチャンスが目の前にある。
それを知った彼女が、どの様な選択をするか。
僕は、この事を彼女に言うのを悩んだ。
それから、数週間……
大手事務所からも何度か連絡は来たが、僕は彼女に話すか……まだ、悩んでいた。
そして、僕は覚悟を決めた。
自分のせいで迷惑をかけた気持ちも、あったのかも知れない。
しかし、彼女の夢を応援したい気持ちの方が強かった。
僕は、何より。
彼女に幸せであって欲しかった。
そして、休みの日。
僕は、彼女に全てを話した。
黙っていた事を、少し怒られるかと思ったが……彼女は少し寂しい顔をすると
ボロいアパートから出て行ってしまった。
「……少し寂しいけど……
いや、めっちゃ悲しいけど……僕が彼女の足枷になっては、いけない。
彼女は、ずっと頑張っていたんだ。
これからは、幸せにならなきゃいけない。」
僕は、彼女の良いところを全て知ってる。
だからこそ、彼女を1番に応援する事にした。
そして、夕立戻って来た彼女は……
「怒鳴り散らして、断って来た!」
「何を……?」
「スカウト!」
僕が何で? と、問い詰めると……
彼女は、悔しそうな顔をして泣き出した。
その時、僕は思った。
あぁ、彼女はーー子供の頃の夢より僕といる事を選んでくれたんだ。と
そして、その後はーーちゃんと、彼女の気持ちを考えないで1人で決めた事をしっかりと怒られた。
こう言う時の彼女は、いつもの優しい彼女とは違い。
ヤンキー気質か少しだけ出てしまうのだ。
それから、僕達の生活はーー何も無かったかの様に過ぎて行った。
そして、たまに行く様になった。
カラオケで、僕はーー
「歌手を諦めた事、後悔してない?」
そう聞くとーー
彼女は、僕と一緒にいる。
今の生活が1番の幸せと言ってくれた。
僕は、これからも彼女を一生大事にする事を
心に誓った。
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それから、僕達は裕福ではないが幸せな生活が続いた。
すると、とある会社から一本の連絡が来た。
それは、彼女に
バーチャルアイドルとして、歌手になってみないか? との申し出で、あった。
彼女は、少し悩んでいた様ではあったが……
僕は、彼女を推す事を決めた!
それから、僕達は戸建てのアパートに引っ越すと彼女がVRアイドルに、なる為の設備を整えた。
そして、彼女の歌はVRアイドルとして沢山の人達に届いた。
僕は、それが心から嬉しかった。
しかし、彼女の容姿が世間に認知されないのはーー少し、もどかしい気持ちも合ったが……
VRアイドルのアバターは、なかなか精巧に再現されていたのでーー今は、納得している。
僕は、そんな彼女の活躍を最前線で見れる事が1番嬉しかった。
そして……
これからも、大好きな彼女を僕はーー
生涯応援し続ける。
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