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「だから、何度も言ってるだろう!エミリーをやったのは俺じゃねぇって!店員に聞けば分かるだろうが!」
ガン、と取り調べ室のテーブルを殴りつけた。
「その店員もお前の赤い銃で殺されてんだよ。いい加減に認めろ!」
警官もまたテーブルを殴り返す。
あの後意識不明になっていた俺は、ちょっとした応急手当をされたのだが、その後が地獄だった。警察はなんと二件の殺人容疑をかけてきたのだ。当初は言っている意味すら理解できなかったが、どうやら俺の持っている拳銃の弾痕と店内にある弾痕が一致したから犯人、と断定したというものだった。そんな馬鹿なと警官に詰め寄った。確かに店内で発砲自体はしたものの、エミリーの体内にある弾痕を見れば一目瞭然ではないか。
「一体どうなってんだ、エミリー……」
両手で顔を覆う。ただでさえ恋人を失って気落ちしているというのに、殺した疑惑がかけられてるなんて耐えられない。
その後も執拗な取り調べは続き、必死に無実を叫び続けた。だが、連中はろくに調べもせずにこっちを犯人扱いして、自白を迫った。無論全力で否定する。しまいには暴力で押さえつけてきたが、やってないもんはやってない。そんなやりとりが数日の間繰り広げられた。
その後の記憶はあまりない。
茫然自失のまま時は流れており、気付けば裁判所の中で審判を受けていた。
裁判官とやらは最初からこちらに対して懐疑的であったようで、終始その物言いと態度がつっけんどんだったのは覚えている。俺は壊れたラジオの様に無実を訴え、エミリーの弾丸と店内の弾丸を調べてくれと言うしかなかった。だがそれらの訴えは悉く無視され、結局は死刑判決がおりたというわけだ。
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