銀色の瞳

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銀色の瞳

――――翌日。 ん、あぁ、朝か。何か、ごつごつした硬いものが頬に……これ、胸筋? はっ!! 「ろ、ロイさま!」 驚いて顔を上げれば、予想通り頭上にはロイさまの寝顔があった。どうやらロイ様に抱きしめられて眠っていたらしい。……さ、寂しがり屋なんだろうか。い、いきなり抱きしめて寝るなんて。もじもじ。 「ロイさま?」 「んんっ、んっ」 名前を呼べば、更に抱きしめる腕の力が強くなり、そして唇を髪ごしに押し付けてきて、す、すりすりしてきたぁ~~~~っ!? 「ちょっ、ロイさまったらっ!」 「ん、びあ、んか?」 うっすらと目を開けたロイさま。あの、早く腕を放してくださいな、と背中をぽふぽふすれば。 「しっぽ、もふ、もふ」 どてっ。 「んんっ」 そしてまた寝たぁ――――っ! ここはロイさまの希望を尊重すべきなのか。私は手探りでそっとしっぽを探す。んー、届かない――――。 「その、ビアンカ」 再び頭上から声がしたので見上げてみれば。 「朝から、その、やるのはっ」 何の話してんのぉ――――っ!? *** 「そうか、しっぽを」 「寝ぼけながらおねだりされていたの、覚えていないのですか?」 ようやくロイさまの腕から解放され、ふたりでベッドの上で向かい合って正座しつつ、首を傾げれば。 「夢だと、思っていた」 そう言う夢は見てたんかい。 「ん、朝もふ」 そういって、自ら身体の角度をずらしロイさまがしっぽをひょいっと見せてくれる。 「で、ではっ!」 朝もふとやらをっ! もふっ わぁ、相変わらずふわっもふな毛並み!気持ちいぃ~~、ふわもふ萌え~~。 「ど、どうだろうか」 「素晴らしいふわもふです!」 「そ、そうか。そ、そのっ」 もじもじしながら、頬を赤らめるロイさま。やっぱりかわいらしい。 「撫でても、いいか」 わ、私を? 「は、はい」 まあ、私もしっぽをふわもふさせてもらったからなぁ。 「で、では」 私にそっと指を伸ばすロイさま。そして優しく髪に触れる。 「いい、髪触りだ」 「あ、ありがとうございます」 何だろう、これすごい照れる……けど、優しく髪を梳いてもらえば、何ともいえない心地よさがある。 「ずっと触っていたい」 えええぇぇぇっっ!?そりゃぁ、私もくまさんしっぽをずっと愛でたいけれど。 「あ、朝ごはんに遅れてしまいます」 「それも、そうだな」 そう言うと、ロイさまがすっと私の髪から指を外す。何だか名残惜しく感じてしまうのは、何故だろう?それにドキドキして、ドキドキが抑えられなくて。 「そう言えば、昨日黒いワンピースに銀色の宝石のアクセサリーをしていた」 「あ、はい。メイドたちが勧めてくれたので」 「似合っていた」 「あ、ありがとうございますっ」 面と向かって言われると、なかなか照れるなぁ。そう言えば、ロイさまの瞳の色は銀色。――――はっ!そういう、ことだったんだ。理由が分かると、何だか妙に恥ずかしいけれど。 「で、では、それぞれ着替えましょうか!」 「あぁ、そうだな」 昨晩のようにふっと微笑んだロイさまにドキっとしながらも、私たちはそれぞれ身支度に移ったのであった。
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