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持てる者と持たざる者の扱いなんて、こんなものだ。
和風異世界に転生したと思いきや、実家が妖怪と戦う退魔師の家系の本家だった。
しかも俺も否応なしに退魔師の修行をさせられたと思いきや、才能などからっきし。同期はまだしも後輩にも分家にもばかにされる上に、弟が才能溢れる天才だったと言うわけで。
俺は役立たずの落ちこぼれの判定をもらったわけである。
しかもそんやなつが本家だなんて許せないとやっかみを受け、分家のやつらに恐ろしい鬼が復活したと言う祠に生贄として放り込まれてしまった。
別に好きで本家に生まれたわけじゃない。退魔師になりたかったわけじゃない。
しかもここは、後日弟が調査をするまで誰も近付いてはならないとされていたのに。
さらに出口はものの見事に塞がれ、俺はひとり、洞穴の中にいる。
確か鬼って……復活したんだよね……?
しかし鬼の咆哮すら聞こえない。まぁ聞こえたら恐怖で動けなくなる。持たざる者である俺など、何もできずに立ちすくすことしかできない。そう……生贄くらいしかできない。
鬼は時に、人間を拐ってしまうのだ。その予防のための、生贄だ。
ほんと……何で才能のない俺なんかが、退魔師の家になんて生まれたのだろう……?
とたとたと……洞穴の中を進んでいく。
本当に鬼は……いるのか……?
そう、思った時だった。
「ばぶ」
はい……?
「ばぶ……ばぶ……」
何か洞穴の中を右左うろうろする鬼がいたのだけど!?しかも、明らかに成人男性の見た目なのに……。
「ばぶ……ばぶぅ……」
何でばぶばぶ言ってんの~~っ!しかもちょっと、かわいい……。
その時。
「ばぶっ!?」
俺に気が付いたばぶ鬼と、目が合った。
瞳孔が縦長の金色の瞳は野性味を帯びている。髪の色は黒で、角も黒い。狩衣も黒で統一されている。……あれ?そう言えば洞穴の中で暗いはずなのに、何故俺はあのばぶ鬼の姿をはっきりと、色まで捉えられるのだろうか……?しかし……ピタリと固まっている、ばぶ鬼。いきなり襲われたり……するような雰囲気ではないけれど。
「ばぶ……まみー?」
はい……?ま、まみー!?
この世界は男同士でも子が作れる世界。男の母がいたとしても不思議じゃぁないのだけど。俺も受けだしなぁ……?
妖怪の中でも最強と言われる鬼だとしても、やっぱりばぶちゃんだもの、母親が恋しいのかな……?俺で役に立てるとは思わないけど……。
ゆっくりと洞穴の地面の上にぺたんと座り……。
ぽん、ぽん。
太ももを、ぽんぽんしてみた。
その瞬間……。
あれ、ばぶ鬼が、消えた?驚いて瞬きをすれば。
ぽすっ。
いつの間にかばぶ鬼が、俺の太ももに頭を預けていた。えぇ――――――っ!?マジで、マジで成功した!?お膝枕しちゃったよ!やっぱりお膝枕は……どこの世界でも最強なのか。
「……ばぶちゃん?」
「ばぶー……ばぶー、まみー」
まぁ、かわいいし……なでなで。
「ばぶぅ~~」
リラックスしてる。
ばぶちゃんをなでなでしながら、いつしか俺は、寝落ちていった。
「ばぶ――……」
ばぶちゃんて……かわいいな……。
※※※
「ここ、どこ――――――っ!?」
目が覚めたら、何やら荘厳な寝室にいた。
「ばぶ」
「あ、ばぶ鬼……いや、鬼ばぶちゃん」
「まみー、ばぶばぶ、ちゅーちゅ!」
「え……?」
ちゅーちゅって……何……?そう思っていれば。
ぽすんっ
鬼ばぶちゃんに押し倒されて……袷をがばりと開くと、俺のたっぷたぷな雄っぱいがお目見えしてしまう。
あれ……たっぷたぷな……?
俺の雄っぱい……張ってないか……?
そしてその雄っぱい乳首に鬼ばぶちゃんが……吸い付いた……っ!
「あぁ~~んっ!?」
す、吸われてる!そして……俺の雄っぱいから何か出てる!雄っぱい出てる!雄っぱいミルク出てるよおぉぉぉ~~~~~っ!
「あぁ――――――――んっ!!!!!」
ヤバい……雄っぱい吸われるの……めちゃくちゃ気持ちいい……。
そして俺の雄っぱいを右、左とたらふくしゃぶった鬼ばぶちゃんが身体を起こして……。
げぷっ
げっぷした!
「ばぶっ」
満足そうに鳴いた!
「ばぶー、まみー、ばぶっ!」
そして優しく抱き締めてくれるばぶちゃん……かわいすぎるな。なでなで。
「ばぶ」
ばぶちゃん、なでなで。
「ばぶー!」
――――そして俺は、ばぶちゃんにちゅーちゅ、ばぶばぶされながら楽しい2日間を過ごした。
「……と、言うわけで。そなたは我が夫だ。よいな?」
「は……はははは、はいっ!!」
どうしてか突然しゃべれるようになった鬼ばぶちゃんに、お返しのお膝枕をされながら、頷いた。
どうやら鬼ばぶちゃんはとっても偉い鬼。洞穴に封じられていたが目覚め、鬼の社の主をしている。たまに人間とひと悶着あるものの、俺の言うことをしっかり聞く鬼ばぶちゃんは、無益な争いを好まず、イイコで過ごしている。
しかし鬼の中には稀に優秀すぎるがゆえに1ヶ月に2、3回ばぶ語しかしゃべれなくなるものがいる。その場合は人間からさらってきた愛しのまみーに雄っぱいちゅーちゅさせてもらったり、うんとかわいがってもらったりする必要があるらしい。
あと、寂しいときやショックを受けたとき、まみーに甘えたい時もばぶになるそうで……。
うん……まみーをさらっちゃうことについては、ちゃんと話し合いの場を持つように、鬼ばぶちゃんに言い付けることにしようと……誓った。
めでたし、めでたし。
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