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9★
玄関ドアを閉めたその瞬間に抱きしめられ、キスをされた。当然驚いたけれど、その激しさが自分を求めている度合いのような気がして、風澄は嬉しくて、それを受け止める。
壁に押し付けられたままで幹路を見上げると、いつもよりも男らしい目がこちらを見つめていた。
「ごめん……こんな、とこで……部屋に着いたらキスしたいって思ってて」
「全然……僕もずっと、落ち着かなかった、ですから……」
タクシーに乗ってからずっと、幹路は風澄の手を握ってくれていた。風澄の鼓動が指先から伝わるのではと思いながらも、ドキドキは止まらなくて、家に着いたら幹路に抱きしめて貰える――とそのことばかり考えていた。幹路も同じだったのだと思えば、胸が苦しくなるほど嬉しい。
「でも、中、入りませんか?」
僕もシャワー浴びたいし、と風澄が笑って靴を脱ぐ。すると幹路はそんな風澄の体をするりと抱き上げた。
「幹路、さん?」
そのまま風澄は自身のベッドへと降ろされ、幹路に覆いかぶされる。驚いたまま幹路を見上げると、その手がそっと風澄の頬を撫でた。
「ごめん、シャワーへは行かせてあげられない」
ぐっと股間を押し付けられ、風澄がその重さを感じて視線を下の方へと向けた。パンツの中だというのに、既に中心が主張している。
自分とのキスで幹路が興奮してくれたということなのだろう。嬉しいし、ドキドキする。それ以上に、風澄も幹路が欲しいと思った。
「……僕も、幹路さんが欲しいです」
今すぐ、と風澄が両手を伸ばす。幹路はそれに誘われるように風澄を抱きしめ、深くキスをした。
幹路が風澄の服の裾から手を入れ、素肌を撫でていく。それだけでぞくぞくと肌がわなないた。
「可愛い……この間も思ったけど、やっぱり細いな」
服を脱がしながら幹路が風澄の裸を見下ろす。そんなにまじまじと見つめられると恥ずかしくて、風澄は膝をすり寄せた。
「ちゃんと見せて……全部キレイだから、見たいんだ」
耳元でささやかれると、体から力が抜けていく。幹路の声は媚薬そのものだ。その声だけで達してしまうのではと思うくらい、風澄の体が熱くなる。風澄は合わせていた膝の力を抜いて、幹路の前に全てを曝け出した。それを見て微笑んだ幹路が風澄にキスをする。
「ん……」
キスを続けながら、幹路の長い指が風澄の胸に触れる。さっきの声だけでつんと尖っていた乳首を摘ままれ、風澄はびくりと体を震わせた。
「ここ、好き?」
キスの隙間から幹路が聞きながら、なおも優しく指を動かす。風澄は素直に頷いた。
「じゃあ、たくさん触ろうか」
官能的なセリフに、風澄の背中がぞくぞくと震える。
ダミヘで聞く霞の声よりも今の幹路の声の方がずっとえっちだーーそんなことを考えていられるのも、ここまでだった。
幹路は体を少し下にずらすと、風澄の乳首にキスをして、そのまま唇で愛撫した。もう片方はまだ指で刺激されていて、風澄が思わず声を漏らす。
「あっ、ん……」
思ったよりも大きな声が出てしまって、風澄が両手で口を押える。それを見上げた幹路が、大丈夫、と微笑んだ。
「可愛い声、もっと聴かせて」
「や、そこで、話さないで……」
吐息が胸の先端を掠め、もどかしくて気持ちよくてその度に肌が震える。
「ああ……こういうの好きなのかな? こっちも震えてる」
幹路が下へと視線を向け、そのまま空いている手で風澄の中心に触れた。風澄が、ひゃ、と情けない声を出す。
「気持ちいい? どこが一番いいかな?」
相変わらず胸で話す幹路は、風澄の乳首と中心、どちらも刺激して風澄の顔を見上げる。
「や、全部、きもちい……」
触られているところも、息がかかるところも、その声も全部気持ちいい。
「よかった。そのまま感じてて」
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