第二話 お飾りの妻

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「こちらこそ不束者ですが、よろしくお願いします」 「やめてくだせえ姐さん!俺たちに頭下げるなんて!」  私が頭を下げると、笹部さんは慌てる。 「でも、これからお世話になりますし」 「敬語もいりません!俺たち兄貴から、姐さんのこと任されてるんです。姐さんのことは、俺たちがお守りします!」 「姐さんは楽にしてればいいっす!」  その言葉通り、本当に良くしてもらえた。 まず驚いたことは、家事は組員たちで当番制だったこと。料理、洗濯、掃除などなど分担して真面目にこなしていた。  桜花組は住み込みの組員が過半数だから、みんなで家事をやっているのだそう。  働き者の方々ばかりで素敵だなと思うけれど、みんな私には何一つやらせてくれなかった。 「姐さんは休んでてください!」 「……ええ」  私は部屋で一人、溜息をつく。  私には何も手伝わせてくれないなんて。  流石にやってもらってばかりでは申し訳ないと思ったのだけれど、「姐さんを働かせたら俺たちが兄貴に叱られます」って言われちゃうし……。  仕事も辞めたから専業主婦になるつもりだったのに、今この状況は専業主婦ですらない。
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