第十一話 桜の邂逅(後) side.和仁

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 現像した写真には、満面の笑みの美桜が写っていた。  よっぽど嬉しかったのだろう。 「ねぇ和くん、二人でも撮りたい」  帰ろうという時、小声で美桜に囁かれた。  他の面子は先に歩き始めており、俺たちには気づいていない。 「お願い! 今日だけでいいから」 「……わかった」  まあ今日くらいはいいだろう。  なるべく写真は残さない方がいいと思い、今までは断ってきた。そもそも俺が写真が苦手というのもあるが。  だけど、美桜があんなに喜ぶのなら一枚くらいは良しとするか。  俺たちは誰もいない校庭の桜の木の下で写真を撮った。  やはり美桜はとても嬉しそうに笑っていた。 「ありがとう、和くん!」  美桜の笑顔は癒される。  無邪気に笑っている姿を見ると、どんなに疲れていても疲れが吹き飛ぶ。  心穏やかな気持ちになれた。  この時間がいつまでも続けばいいと思った。
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