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* * *
「これは一体どういうことだ……? 和仁」
だが、俺と美桜が出会って二年の月日が経った頃、ついに父に俺と美桜の関係がバレた。
「…………」
黙っていると、顔面を思いきり殴られる。
血を吐き、気絶しそうになるくらいだった。
「よりにもよって染井一家の娘と通じるなど……お前は次期組長としての自覚がないのか!?」
「っ、俺は……」
「黙れ!! この恥知らずがっ!」
もう一発殴られ、そのまま拷問部屋に放り込まれた。
意識が朦朧とする中、冷たい部屋の中で電話が鳴り響く。
美桜からだった。
「……美桜か?」
《和くんっ!!》
電話越しでもわかる、美桜は涙声で震えていた。
《ごめん、お父さんにもお姉ちゃんにもバレちゃった……》
「そうか」
《ごめんなさい……私が写真を見られちゃったから》
「美桜は悪くない」
きっといずれはこうなるのだろうと思っていた。
《そんなに、ダメかな……?》
悲しそうな美桜の声が胸に突き刺さる。
《なんで一緒にいちゃいけないのかな……ただ和くんのことが好きなだけなのに》
「美桜……」
敵対する家に生まれた者同士というだけで、引き裂かれる。
俺は一生決められた人生を歩むことしかできないのか。
父の言いなりになって生きるしかないのか。
俺が極道なんかに生まれていなければ、美桜とずっと一緒にいられたのだろうか――。
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