第十一話 桜の邂逅(後) side.和仁

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 そんなわけが……頼む、何かの間違いだと言ってくれ。  美桜は、昨日まで元気だったじゃないか。  いや元気とは言い難かったけど、電話越しの声は普通だった。  きっとまた俺に笑顔を見せてくれる。  そう信じて待っていたのに。  俺は覚束ない足で峰とともに病院へ向かう。ある病室の中で美桜の家族の泣き叫ぶ声が聞こえた。  美桜の両親の声だった。 「美桜!! 目を覚ましてぇっ!!」 「美桜ーーっ!!」  びしょ濡れのまま病室の前で立ち尽くす。  嘘だ、そんな。  美桜は――……。 「あんたのせいね……」  声を震わせながら、ゆらりと美咲が病室から出てきた。 「あんたのせいで、美桜は死んだのね……!!」  大粒の涙を溜めながら、激しい憎しみを込めた瞳で俺を睨みつける。  だがそれ以上に銃弾を受けたような衝撃が走った。 「美桜が、死んだ……?」 「そうよ!! あんたに会うために!! 家を抜け出して……トラックに撥ねられたのよっ!!」  そんな……美桜……!! 「あんたが美桜を殺したのよ!! あんたさえいなければ、美桜は……っ」  俺に詰め寄ろうとする美咲を鬼頭が止める。 「美咲お嬢さん!!」 「人殺し!! 私の妹を返してよっ!!」  美咲の悲痛な叫びが病院中に響く。  鬼頭は美咲を止めながら、憎悪に満ちた瞳で俺を睨み付けていた。  
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