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そんなわけが……頼む、何かの間違いだと言ってくれ。
美桜は、昨日まで元気だったじゃないか。
いや元気とは言い難かったけど、電話越しの声は普通だった。
きっとまた俺に笑顔を見せてくれる。
そう信じて待っていたのに。
俺は覚束ない足で峰とともに病院へ向かう。ある病室の中で美桜の家族の泣き叫ぶ声が聞こえた。
美桜の両親の声だった。
「美桜!! 目を覚ましてぇっ!!」
「美桜ーーっ!!」
びしょ濡れのまま病室の前で立ち尽くす。
嘘だ、そんな。
美桜は――……。
「あんたのせいね……」
声を震わせながら、ゆらりと美咲が病室から出てきた。
「あんたのせいで、美桜は死んだのね……!!」
大粒の涙を溜めながら、激しい憎しみを込めた瞳で俺を睨みつける。
だがそれ以上に銃弾を受けたような衝撃が走った。
「美桜が、死んだ……?」
「そうよ!! あんたに会うために!! 家を抜け出して……トラックに撥ねられたのよっ!!」
そんな……美桜……!!
「あんたが美桜を殺したのよ!! あんたさえいなければ、美桜は……っ」
俺に詰め寄ろうとする美咲を鬼頭が止める。
「美咲お嬢さん!!」
「人殺し!! 私の妹を返してよっ!!」
美咲の悲痛な叫びが病院中に響く。
鬼頭は美咲を止めながら、憎悪に満ちた瞳で俺を睨み付けていた。
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