第十一話 桜の邂逅(後) side.和仁

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「……消えろ」  鬼頭はドスの効いた低い声で言った。 「今すぐ消えろ……でないと貴様をブッ殺しちまう」  怒りと憎しみに震える鬼頭。それでも美咲の肩をしっかりと抱きしめている。 「和仁、行こう」 「………」  峰に促され、逃げるようにその場を立ち去る。  美桜は死んだ? 俺のせいで?  俺があんなこと言わなければ……美桜は死なずに済んだのか……?  ――和くん!  ――和くん、怪我良くなった? 無茶したらダメだよ。  ――和くん、大好き!  土砂降りの中、人目も憚らずに叫んだ。  どうしようもない絶望感が全身を蝕んだ。 「うわああああああああああああ」  どうして、なんでなんだ。  ただ美桜のことが好きで一緒にいたいだけだった。  それだけだったのに。  美桜がいなければ、何も意味がない。
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