第十一話 桜の邂逅(後) side.和仁

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 俺は峰と二人、当てもなく遠くへ行った。  誰も知らない土地へ行こうと思ったが、どこへ行こうとも桜花組の名前は大きかった。 「貴様、桜花組の吉野和仁だな……? 桜花に受けた恨み、晴らしてやる!!」  どこでも恨みを買っていたので、喧嘩を吹っかけられることは多々あった。  そのどれもを買い、峰と二人で暴れ回った。  俺に喧嘩を売る以外にも色んな悪人がいた。  売春を斡旋してるやつ、詐欺で金を巻き上げるやつ、違法薬物を売り捌いてるやつ。  そういう奴らを片っ端から潰していたら、いつの間にか俺の周りには人が集まるようになっていた。 「兄貴の漢気に惚れました。舎弟にしてくだせぇ!」  何故かそう言ってくるやつが沢山いた。好きにしろ、とだけ答えていた。  別に人助けをしたかったわけじゃない。薄汚い奴らが嫌いなだけだ。  美桜を守れなかった自分に対する行き場のない気持ちを、発散しているだけなのだ。  他にも色んなやつに出会った。  行き場がなく帰る家がないやつ、暴れ回るしか発散できないやつ、犯罪に片足突っ込んでいたやつ。  そのどいつも死んだ目をしていた。 「居場所がないなら一緒に来るか?」  いつの間にか仲間は増えて、いつの間にか新進気鋭の暴走族と認識されるようになっていた。  峰の提案で桜龍(おうりゅう)なんて仰々しい名前を名乗ることになった。 「兄貴! 俺たち兄貴にどこまでもついていきます!」 「兄貴は俺らの恩人だ」  千原や笹部も俺が拾った中の一人だった。  今でこそ明るく人懐っこいやつらだが、皆何かしら心に傷を抱えている。  特に今にも死にたいと言わんばかりの目を見ると、放っておけないと思ってしまう。  あの時の峰は、こんな気持ちだったのだろう。
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