第十一話 桜の邂逅(後) side.和仁

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 桜龍の勢いは増してゆき、たった一年で関東を制圧する程のゾクとなっていた。  ただ歯向かってくるやつらを片っ端から片付け、仲間になりたいと言ったやつらを受け入れていただけだが、かなりの規模の組織となっていた。  全く皮肉なものだ。  あんなに敷かれたレールの上は嫌だと思っていながら、結局やっていることは変わらない。  所詮俺は裏世界でしか生きられないということなのだろう。 「若! 組長から連絡があった」 「なんだと?」  ある日峰から連絡を受け、父が俺のことを連れ戻そうとしていることを知った。  俺はとっくに勘当されたと思っていたのに、どういうことだ?  今更戻るつもりなんかないし、どの面下げて帰るのだと思った。  だが今度は母から直接連絡があった。 「実はお父さん、癌が見つかったの。今は入院していて……だからお願い、和仁。帰って来てちょうだい」  まさか、あの父に癌が?  半信半疑だったがそれを聞いて無視はできず、俺は舎弟たちを引き連れ一年半ぶりに実家へ帰った。 「……帰ったか」  一年半ぶりの父は、少し痩せたように見えた。  ステージⅡと診断されて手術は成功しているが、再発防止のため放射線治療を行っているらしい。 「随分と暴れ回っているようだな」 「……別に」 「和仁、戻って来い」 「!」 「お前の連れて来たやつらも桜花組で引き取ろう」
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