第十一話 桜の邂逅(後) side.和仁

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 それでも俺を若頭として受け入れてくれるのか。 『桜花組の組員はみんな家族って信念、素敵だよね』  俺はその家族を見捨てたのに。 『和くんって口にはしないけど、桜花組のことすごく大事にしてるよね。きっとそれがみんなにも伝わってるから、みんな和くんを慕うんじゃないかな』  俺はそんなにできた人間じゃない。 『和くんの大切な家族の一人に、いつか私もなれたらいいな……なんて』  いつだったか、美桜はそんなことを言っていた。  照れ臭そうに頬を染める美桜に対し、同じく照れ臭かった俺は「どうだろうな」と曖昧にしか返せなかった。  でも本音は、本気で思っていたんだ。  いつの日か美桜と家族になれる日がきたらいいと。  夢物語のまま儚く散ってしまったが。 「美桜……守れなくてすまない」  どうしようもない自分にできることが、桜花組(かぞく)を守ることならば。  今度こそ自分の役割を全うしたい。  美桜が誇りに思っていた極道の仕事、桜花組次期組長としての役目を果たしたい。  だが、もう二度と誰のことも愛さない。  大切な人を失うことになるのなら、最初からいらない。  そう決めていた。  ――ジェシカ、君に出会うまでは。
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