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「要するに桜花の脅威とならないことが大前提というわけだ。更に君の父の会社を立て直すという恩を売り、逆らえる状況をなくさせたんだな」
「な、なるほど〜!!」
「……怒らないのか?」
「えっ、なんでですか?」
「いや、不快に思わないのかと」
不快なことなんて一つもない。改めて利害関係の元に成り立った関係だったんだな、と再確認する。
私の父は会社を取り戻すことができて、お義父様にとっては条件を全てクリアした縁談で。
「私は和仁さんの妻になれて、皆が幸せになれる結婚だったということですね!」
「それは、結果的には」
「素晴らしいじゃないですか! こんな奇跡、なかなかありませんよ」
そう、これはほとんど奇跡に近い。
たとえ最初は政略結婚だったとしても、こんなにも愛しいと思える人と結婚できるなんて運命的だと思う。
「私と出会ってくれてありがとうございます」
「……っ」
「和仁さん?」
和仁さんは再びぎゅううっと私のことを抱きしめ、肩に顔を埋める。
「……どうせ結婚させられるんだから相手なんかどうでもいいと思ってた。でも、ジェシカでよかった」
「和仁さん……」
「愛してる、ジェシカ」
「私も……」
全て言い終わる前に唇を塞がれる。
ついばむようにくっついては離れ、開いた口から舌を差し込まれて。そのまま舌が絡まり合う。
「ん……っ」
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