不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。

第十二話 紡がれる未来

　ヘアメイクは雅さんの経営するヘアメイクサロンでお願いすることになった。

「満咲の別邸で写真を撮るのはどうかしら？　レトロな洋館で雰囲気があるの。お花は私に任せて」

　更に蘭さんのご厚意で満咲家の別邸を撮影場所としてお借りすることに。
　蘭さんが特別にお花を用意してくださることにもなって、とても豪華になりそうだ。

　ふとした思いつきだったけど、色んな人に協力してもらえることになった。
　吉野家に嫁いでから、本当に私は人に恵まれているなぁと思う。

「……なんでか大事になってないか？　話してないのに舎弟たちも全員知ってるんだが」
「お義母様に聞いたんじゃないですか？」
「お袋まで見に来ることになっているし……」

　お義母様曰く「ジェシカさんのウェディングドレス姿がどうしても見たい」とのことで、当日は見に来てくれることになった。
　お義父様も行きたいと言っていたのに、和仁さんが断固拒否するので少しいじけていた。

「親が見てる前とか嫌なんだが」
「いいじゃないですか！　お義母様のおかげでもあるんですから」

　それにしても楽しみだなぁ、和仁さんのタキシード姿……。
　紋付も素敵だったけど、タキシードも絶対カッコいいに決まってる。

　和仁さんの仕事の都合でドレスは一緒に選びにいけないけど、雅さんが来てくれることになっている。