第二話 お飾りの妻

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「君は、この家が嫌ではないのか?」  急に尋ねられて驚いたが、即答した。 「嫌じゃないですよ?」 「そうか……」  だってご飯も美味しいしみんな気さくで素敵な人たちばかりだし、実家よりも天国だもの。 「この家に嫁いできてよかったです」 「……ここは、君が思っているようなところじゃない」 「え?」 「いや、何でもない」  そう言って和仁さんは背を向ける。  多分今、線を引かれた。  それとなく千原さんたちが教えてくれたけど、次期組長でありながら和仁さんに結婚の意思がなかった。  でも跡取りが欲しかったお義父様が、私の父を助けることを条件にこの縁談を取り付けたらしい。多分嫁になるなら誰でもよかったんだ。  それに和仁さんは今でも結婚は望んでいない。だから私と仲良くするつもりもないんだ――。  所詮書類上だけの、お飾りの妻だなんてわかっていたはずなのに。  寂しいと感じてしまうなんて、厚かましいのかしら……。
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