第二話 お飾りの妻

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 和仁さんの言葉に思わず顔を上げる。 「一応ここは君の家でもあるんだからな。遠慮はするな」 「……!あ、ありがとうございますっ」  もしかしたら私の境遇を憐れんで同情してくれたのかもしれない。  それでも君の家と言ってくれたことが嬉しかった。  お飾りの妻だけど、ここにいてもいいと言われているみたいで。  桜花組の一人に入れてもらえてるのだとしたら、嬉しいな――。 * * *  翌日は快晴で洗濯物日和。  気持ちが良くてつい鼻歌を歌ってしまう。 「〜♪〜♪」 「姐さん、ご機嫌っすねぇ」 「あら、そうかしら?」 「兄貴といいことあったんすか?」 「えっ」  千原さんにそう突っ込まれ、思わず顔がカアっと熱くなる。 「あーー!その顔はやっぱりなんかあったんすね!」 「な、何もないわよっ」  本当に大したことは何もない。  だけど舎弟の皆さんはお見合い結婚だと思っているようで、普通に仲の良い夫婦だと思われているみたい。  和仁さん曰く面倒だから好きに思わせておけ、とのこと。  実は政略結婚で書類上だけの妻だと知ったら、みんなどう思うのかしら。  そんなことで態度を変えるような人たちではないと思うけれど。  でも、昨日あんな風に言ってくれたのはすごく嬉しかった。  きっと和仁さんがみんなに慕われるのは、ああいうところなのだろうと思った。 「……姐さん、顔赤いっすよ」 「や、やだ!そんなに!?」  笹部さんに指摘され、思わず頬に手を当てる。 「いやそういうことじゃなくて」 「?」
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