第二話 お飾りの妻

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「最近はあまりしないが、一応料理はできるんだ」  キッチンに立つ和仁さんを想像して、胸がキュンキュンしてしまう。  料理もできるなんて、素敵すぎる。 「ありがとうございます!すごく嬉しいです!」 「こちらこそ気づいてやれなくてすまなかった。君に無理をさせていたのかもしれないな……」 「……っ」  その言葉に思わず涙がじわりと滲む。 「えっ?」 「う……っ」 「どこか痛いのか?」  心配そうに私の顔を覗き込む和仁さんに対し、ふるふると首を横に振る。 「違うんです……迷惑をかけてしまったと思ってたから」 「迷惑?どこがだ?」 「義母は私が風邪をひくと迷惑そうにしていたので……」 「……」  ポロポロ涙をこぼす私の頭を、ポンと優しく撫でてくれた。 「……和仁さん?」 「風邪くらい誰だって引くだろう。むしろ迷惑かけてやるくらいでちょうどいい。家族なんだから」 「え……でも、私たちは書類上の夫婦だって」 「でも同じ屋根の下に住む家族であることには変わりないだろう」  私は千原さんの言葉を思い出していた。  桜花組という大きな家の中にいる者はみんな家族だという言葉を。
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