第二話 お飾りの妻

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 思い出したら、もっと泣けてきた。 「ううっ」 「なぜもっと泣くんだ……」 「私、和仁さんと結婚してよかったです!」 「!」  弱っているせいで涙腺まで弱くなってしまっている。  子どもみたいにボロボロ泣いてしまって呆れられているかもしれないけど、本当に嬉しかった。  和仁さんが私のことも家族だと言ってくれたことが。  桜花組の仲間にしてくれたことがとても嬉しくて、涙が止まらない。 「……愛がなくてもか?」  和仁さんは少し視線を逸らしながら尋ねる。 「愛ならいただいてますよ?」 「え?」 「愛の形は恋愛だけではないと思います。舎弟の皆さんが和仁さんを慕うのも愛だと思いますし、和仁さんが家族だと言ってくれたのも愛でしょう?」  そう、それは夫婦としての愛ではないかもしれないけれど、和仁さんが私のためにおかゆを作ってくれた気持ちは間違いなく愛情が込められていると思う。   「夫婦としての愛じゃなくても、私は幸せです」 「……」  最愛の母を失って以来、家族に愛されなかった私にとっては十分すぎる。  すると、和仁さんは突然無言で立ち上がった。  きょとんとしながら見上げると、突然抱きしめられる。 「えっ……和仁さん!?」  突然のハグに驚きと戸惑いが隠せない。 「……」  どうしていいかわからなくて、私は両手の行き場をなくす。  ドキンドキンと刻まれる鼓動の音は、私のものなのか和仁さんのものなのか。  それさえもわからなくなる程、和仁さんとの距離はゼロだということだ。
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