第二話 お飾りの妻

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 しばらくして、和仁さんはゆっくり私の体を離した。 「……そろそろ戻る。何かあれば言ってくれ」 「は、はい……」 「それじゃあ」  和仁さんが部屋を出て行ってから、真っ赤になった頬を両手で押さえる。 (今の何!?)  さっきよりも体が熱っている。もしかしたら熱が上がったかもしれない。  だけど興奮してそれどころではなかった。  ダメよ、あんなことされたら。  流石に勘違いしてしまうわ。  私は思い切り頭から毛布をかぶった。  まだ確かに残る和仁さんの香りと温もり。  あの逞しくて大きな腕に私は……やだ、何を考えているの……! 「違う、勘違いしてはダメよ、ジェシカ。和仁さんは優しいから、私に同情してくれただけなんだから」  自分自身に言い聞かせながら、それでも期待してしまう気持ちが隠せない。  家族としての愛情を注いでもらえるだけで幸せだという気持ちに嘘はない。  でも、やっぱり願わずにはいられない。  もしかしたら、本当の夫婦のようになれるかもしれない、だなんて――。
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